角川まんが学習シリーズ「日本の歴史」読んだ感想⑤

manga-kadokawa-nihonnorekishi-5角川まんが学習シリーズ「日本の歴史」のレビューもこれにて完結です。今回は13~15巻。
最初のレビューはこちら「角川まんが学習シリーズ「日本の歴史」読んだ感想①」。前回のレビュー記事はこちら「角川まんが学習シリーズ「日本の歴史」読んだ感想④」。
今回は明治時代後期~平成(現在)の内容となります。いよいよ、ラストスパートです。

今回のみどころ

いよいよ近代に入って今まで以上に大きく歴史が動きます。中国の影響をうけつつ独自の文化を育ててきた日本ですが、西洋の文化を積極的に取り入れてアジアの中での地位を確たるものにしていくところが見どころです。そして…その末路に待っている戦争と平和憲法への道のり。
今では当たり前となった社会の基盤や制度がこれからの時代に整えられ、形になっていくさまをわかりやすく解説してくれています。

近代国家への道-明治時代後期-

維新の三傑が亡くなった後、伊藤博文をはじめとした薩長出身の人々を中心に政治が行われるようになっていました。
こうした動きに対して、板垣退助を中心とした自由民権運動は多くの人を巻き込みながら国会の開設をめざす政治結社「国会期成同盟」が結成されました。
また大隈重信も下野して「立憲改進党」を結成。現在の早稲田大学の前身である東京専門学校を創立し、若者の教育に力を注ぎました。

江戸時代まで政治は身分の高いものが行うものでしたが、こうした様々な活動によって民衆の政治に対する関心も高まっていきました。
この頃、様々なところで憲法制定の必要性が訴えられ、多くの人が憲法草案を作成しています。

国会開設が近づくなか、それに対応するために伊藤博文は内閣制度を作成します。
自身が初代内閣総理大臣となり、各大臣を任命。いよいよ憲法制定に乗り出すことになりました。
この辺り、伊藤の苦労や苦悩が軽くながらも描かれていて非常によいです。
特に、憲法づくりを東京から離れて行ったことなどは現在のIT企業でもたまにやっているところがあり、興味深い。
そうこうしながらも1889年には大日本帝国憲法が完成します。
これによって、日本はアジアで最初の立憲国家となりました。

立憲国家となった日本は、陸奥宗光や小村寿太郎の活躍によって江戸時代に結ばれた多くの不平等条約を改正。
岩倉使節団が条約改正を試みてから、実に40年近く経過しようとしていました。

国内で、様々な制度や仕組みが調おうとしているさなか、朝鮮では甲午農民戦争とよばれる民衆と政府間の戦争が起こっていました。
政府側は清に協力を要請して鎮圧を試みますが、日本は朝鮮にいる日本人の保護を理由に出兵。
日清戦争が勃発します。
黄海海戦での勝利を始め、各地で快進撃を続ける日本に対して清が講和を持ちかけたことで、日清戦争が終了。
アジアの小国にすぎなかった日本が、大国である清を破ったことで列強が相次いで清に進出するようになります。

日清戦争で巨額の賠償金を手にれた日本は、国内の産業育成に力を入れます。
製糸業などの軽工業を発展させ、重工業の発展も行いました。この時にできたのが北九州の八幡製鉄所です。
こうして日本は軍事的にも、内政的にも充実して行きました。
そして、戦争で勝利すれば金になる。という意識が国民に芽生えはじめ…次第に戦争主義になっていきます。

そうした流れから日本はロシアと開戦し、日露戦争が勃発。
遼東半島、奉天の攻略。海戦では当時世界最強と言われたバルチック艦隊を東郷平八郎率いる旗艦「三笠」の艦隊が撃破し勝利。
ロシアとの講和にこぎつけます。しかし、この講話で得られたものは国民の期待していた賠償金とは異なっており、大きな反感を招いたのでした。

ロシアとの戦争の勝利は、ロシアという大国に脅かされていた国々では植民地支配からの脱却を訴える民族運動が発生するなど、世界に大きな影響を与えました。
こうして大国に二度勝利した日本は、アジアでの地位を確固たるものにし、列強の一員として韓国統監府を設置し伊藤博文が初代統監に就任。
韓国の皇帝を退位させるなど強硬な手段で支配しようとします。そんな中、韓国人青年のはなった縦断によって伊藤博文は命を落とすのでした。

大正デモクラシー-大正~昭和時代初期-

話は明治天皇の崩御からはじまり、大正時代へと突入しました。
しかし、明治時代から続いていた薩長の藩閥政治は変わることがなく(国会はできていたが薩長出身者が首相になることが多かった)、民衆の不満は募っていきました。
憲法を守り、きちんとした政治を行うための運動「第一次護憲運動」が勃発。桂内閣はわずか53日で総辞職しました。
国民のこうした政治への関心が高まりながら日本は普通選挙に向けて歩みを進めていました。

こうした中、世界ではバルカン半島に端を発する第一次世界大戦が勃発。
ヨーロッパを中心として世界各国を巻き込む大規模な戦争が繰り広げられました。
日本も同盟国であるイギリスの参戦要求に応じて中国や南洋諸島へ進出し、アジアでの利権を獲得しました。

第一次世界大戦の主な戦地はヨーロッパだったため、戦場となっていなかった日本は物資の輸出で大きくうるおって、西洋文化が浸透していきました。
国内の文化としても芥川龍之介や森鴎外をはじめとする文豪が多く生まれ、日本の文化も成熟していきました。

戦争が長引き、3年ほど経った頃。ロシアでは社会主義が生まれました。
レーニンによってロシア革命が起こされ、社会主義が浸透したため、脅威に思った資本主義の国々は社会主義を抑えこむためにシベリアへ出兵。
日本も相当数の派兵を行いましたが、勢力を広げることはできませんでした。
膨大な戦費を消費し、日本国内では物価が大きく上昇したため国民の生活は苦しくなりました。輪をかけるように商人が米の買い占めを行ったためさらに物価が上昇。
各地で民衆による米問屋や商人に対して打ち壊しなどが行われました。
時代が進んでもこうして打ち壊しなどが起こるのは、世の常なのかもしれませんね。そう考えると今はかなり平和になった感じがします。

ロシア革命の影響を受けて、ドイツやオーストリアでも革命がおき、第一次世界大戦はようやく終結しました。
凄惨で大規模な戦争は世界に大きな爪痕を残し、戦争が再び起こることのないよう国際連盟が発足されました。
この国際連盟では先の戦勝国と戦敗国の利害が一致せず、また植民地も開放されることはなかったため民族自決を推進することはできませんでした。
そのため各国で民族独立運動が活発に行われるようになっていきました。

世界から一時的に戦争がなくなり、落ち着いてきました。
日本もこの間、女性の社会進出や労働組合の結成によって社会的に様々な変化を遂げていきました。
しかし、現代社会へ徐々に近づいてくる中で突如として不幸が襲い掛かってきました。
関東大震災です。

関東大震災では多くの人命が失われ、復興には巨額の資金がつぎ込まれました。
大きな混乱のなかで普通選挙が実現するなどの進歩はありましたが、同時に治安維持法という危険な法律も制定されました。
この法律は共産主義思想を取り締まるために利用され、国民が共産主義を応援することが事実上できなくなっていきました。
震災での消耗、復興での出費に加えて、次に起きた事件は世界恐慌と呼ばれるものでした。
世界恐慌によって街には失業者が溢れ、世の中の活気がなくなっていきました。
日本国内だけではこの不況を打開することが難しく、次第に満州を利用する方向に考えていくようになります。
こうして、日本は様々な問題を戦争で解決する方向に向かっていくのでした。

戦争、そして現代へ-昭和時代~平成-

1937年に日中戦争が開戦されると、日本は上海、南京、武漢などを攻略したが中国側は抵抗を続けていた。
そんな中、1938年には国民を積極的に戦争に参加させる「国家総動員法」が交付され、いよいよ軍国主義化が顕著となった。

世界では第一次世界大戦のベルサイユ条約で多額の賠償金を支払うことになったドイツがヒトラーによって、国外への敵意を強めておりポーランドへ侵攻。
ドイツの優位をみたイタリアもドイツ側で参戦し、日本も大陸での戦いで中国を支援しているアメリカ、イギリスへけん制するためにドイツ、イタリアと同盟し、日独伊三国同盟が結成されました。
こうして国際連盟でつくろうとした平和は脆くも崩れ、第二次世界大戦が勃発するのでした。

日本はアメリカへ宣戦布告、ハワイを攻撃しますが宣戦布告は駐アメリカ大使館が手間取ったために条約違反となりました。
日本のハワイ攻撃は成功し、東南アジア地域へ進出してフィリピンでマッカーサーを追い詰めるまでに善戦しますが、ミッドウェー海戦で大敗し、ガダルカナル島でも2万の兵を失う敗北をすると戦争の主導権を失いました。
軍部は戦力差が明らかではありましたが、国民に対し戦勝報告を続け犠牲者が増え続ける原因となりました。
その後は東京大空襲、広島・長崎への原爆投下を経て降伏。300万人の日本人が亡くなったと言われる戦争はようやく終結しました。

戦争が終わると、GHQの指導のもと日本の再建がはじまります。
天皇の人間宣言、秘密警察の廃止、教育の自由主義化、経済の民主化、女性参政権の付与、労働者の団結権の保障、A級戦犯を始めとする戦争犯罪人の裁判、日本国憲法の制定、治安維持法の廃止などを行い、現在の日本の基礎を作り上げました。

国外では2度の戦争の反省から新たに国際連合を立ち上げ、安全保障理事会を設置しました。
しかし、こうした取り組みをもっても平和は長く続かず、ヨーロッパでの主導権を巡ってアメリカとソ連が対立。
ドイツでは国が東西に分裂、朝鮮では国が南北に分裂、中国では共産党が大陸を支配し、国民党は台湾へ逃れるなど多くの国が影響を受けました。
皮肉にもこうした分裂や争いが、戦争特需を招いたため日本は大きく経済成長を遂げることができたといわれています。

高度経済成長に突入した日本は、東京オリンピックを経て世界第2位の経済大国となります。
様々な問題を抱えながらも着実な成長を遂げてきましたが、第四次中東戦争による原油の高騰(オイルショック)によって経済成長はストップしました。
その後もバブル景気と呼ばれる好景気によって経済が成長していきましたが、そんな中、昭和天皇が崩御。
平成時代の幕開けとなりました。

この頃、ようやくアメリカとソ連の冷戦が終結し、国際連合も機能しはじめましたが、湾岸戦争が勃発。
日本でもPKO法が成立し、国際連合の平和維持活動に協力することができるようになりました。
これによって自衛隊の海外派遣ができるようになり、当時も憲法問題を巡って大きな論争になりました。
こうした中で、日本は阪神・淡路大震災に見舞われます。この時の自衛隊の救助活動によって自衛隊を支持する人が増えたと言われています。

その後、地下鉄サリン事件や9.11テロ、東日本大震災など多くの事件や問題に見まわれながら、日本の歴史は今も続いているのでした。

今日の発見、気づき

近代の動きは今までの国内だけの動きに比べると、非常に多くのしがらみというか、思惑が絡んでいますね。
また、技術の進歩や世の中の動きの速度が飛躍的に早くなったように感じます。
江戸時代後半から現代にかけての歴史の中で言えばほんの一部ですが、この間に社会的な背景も、技術も、大きく変化して今の僕達の生活があるのだというのが総覧できる3巻だったと思います。
僕が生まれてからも多くのことがあったんだなぁ…と、改めて振り返ることができ非常に有意義に感じました。
別巻の感想はこちら「角川まんが学習シリーズ「日本の歴史」別巻

角川まんが学習シリーズ 日本の歴史 全15巻セット
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