【日本株】Ploom X値下げ!?JTの利益は大丈夫か?そして…【高配当】

こんにちは。ななうみ(@nana_u_mi)です。

今日はJTが加熱式たばこ「Ploom X(プルーム・エックス)」用の「メビウス」を刷新して、3月20日に発売することを発表したことについて、利益は大丈夫なのか?そして配当への影響は?ということでお送りします。

結論から言うと、利益も配当もほぼ影響なしだと考えていて、そんなことよりもシェア拡大による恩恵が長期的には効果が高いと考えます。

JTは高配当株として人気が高く、購入や買い増しすることを検討している人も多いと思いますから、ぜひ最後までご覧ください。

Youtubeにも動画を載せているので、動画で見たい人はこちらからご覧ください(チャンネル登録してくれたら嬉しい!)。

まずは、Ploom Xの値下げについての情報を確認していきましょう。

日本たばこ産業は加熱式たばこ「Ploom X」用の「メビウス」を刷新して、3月20日の発売を発表しています。リニューアルに合わせて価格を1箱20本入り570円から500円に値下げするということで、実質的な値下げとなるようです。狙いは価格を押さえて国内シェアの拡大を目指すというもの。

JTの加熱式たばこの国内シェアは約12%で、外資2社のシェアが90%近く優勢な状態となっています。これを打破したいということですね。

実はJTは22年11月にPloom Xの本体の方ですね、希望小売価格を半額の1980円に値下げをしているということで、本体も消耗品もどちらも価格で秀でる形となるようです。

また、今後はイタリアなどでもPloom Xの販売を開始するということで、グローバルにシェアを取っていくという計画となっています。

ということで、今回の値下げがどんなものかというと、こちらがメビウスの価格になるんですけれど紙巻きたばこのメビウスは580円になっているんですね。

画像で会わらせていないんですけれど、メビウスだけをとってももっとたくさんの種類があってこんなに種類あったんだ?と驚いたんですが、メビウスイーシリーズというのが最も安価なシリーズでこちらが今回の値下げ価格と同じ500円となっています。

タールやニコチンの含有量は違うのかもしれませんが、本数も一緒ですし旧来の紙巻きたばこよりも健康によく、値段も安いということであれば加熱式たばこに乗り換えるユーザーも一定数見込めるんじゃないかなと思います。

ちなみにこちらは競合であるIQOSの価格なんですが、確か昨年値上げをしていて1箱600円になっています。

IQOSを5箱消費する価格で、Ploom Xのメビウスなら6箱楽しめるということですから、対競合観点でも価格の点だけ見れば優位性がある状態となります。

値下げをするだけなので、すぐに価格競争になるのかな?という気もしたのですが、Ploome Xが価格改定してから3カ月ほど経っていますが、IQOSの本体はいまだに3980円ということで値下げしていませんから、値下げ競争をするつもりは今のところないのかもしれません。

ということで、この値下げがJTの業績にどのくらい影響があるのか?というのが気になるところだと思いますが、僕の見立てではほとんど影響がないとみています。

理由は2つで、そもそも値下げするというのは昨日今日思いついて発表するような内容ではないので、前回決算のタイミングではおそらく織り込んで発表しているだろう。ということ。

それから2つ目は、仮に織り込まれていないとしても販売数量や利益の観点から試算して影響は少ないということです。

2つ目の理由詳しく見ていきましょう。販売数量の実績を見てみると、Combustiblesが5194億本に対してRRPは79億本となっていて、現在はたばこ事業全体の1.5%ほどの売上本数しかないですから現時点では影響が小さいと言えそうです。

ちなみにCombustiblesは可燃式たばこ全般を指していて、RRPは健康影響が少ないたばこを指しています。

Combustiblesは年々販売本数が低下してきていて、RRPは強く成長しているので今のうちにシェア拡大を急いでRRPが主流になったときにはRRPの大手としてのポジションを確立しておきたいという狙いがあります。

値下げのインパクトが金額的にどのくらいのインパクトがあるのかというと、こちらは2023年のたばこ事業の売上金額の見込みになるのですが、調整後営業利益で6960億円となります。

CombustiblesとRRPでどのくらい利益率の差があるかわからないのですが、雑に計算すると全体の売上本数の1.5%がRRPだったわけですから、仮に今年のRRPの売上本数が30%増えたとして6960億円の2%ですからおよそ140億円。

RRPの中でPloom Xがどのくらいの割合を占めているかわからないので仮にすべてPloom X、しかもすべての消耗品がメビウスだったとして計算しても、値下げ率が約12%なので17億円利益が減る。ということになりますね。

今期の最終益予想が4400億ですから、そのうちの0.4%が減るくらいのインパクトとなります。こう考えると大したことないですよね。

会社全体に対する影響よりも、ユーザーが受ける恩恵がはるかに高いですから、むしろシェアが伸びてくれればメリットの方が大きいと考えられます。

将来的にはまた値上げとかしていくと思うので長期的には今回の値下げが業績に大きな影を落とすとも考えられないですね。

ということで、せっかくですから最近発表された決算内容も軽く触れておきましょう。

2022年の業績サマリーとしては売上から当期利益まで過去最高を実現ということで好調な1年となりました。ロシア問題とかいろいろあった割には相当に健闘したんじゃないかなと思います。

年間を通じてたばこのプライシングが業績に寄与したということで、値上げ効果が著しいということがわかりますね。

一方でキャッシュフローは前期比でマイナスとなっていて、要因としては運転資本の悪化や法人税支払いの増加、日本におけるたばこ事業の運営体制強化などで支払いが多かった。ということがあげられています。

いずれも何か想定外のトラブルがあったというよりはコントロールされている中での支出の増加だと感じるので問題はないでしょう。

2023年の業績見通しはこのようになっています。
売上は微減、営業利益もやや減少しますが、当期利益は微減で前期とほぼ同等の水準となる見通しです。

為替一定ベース営業利益についてはたばこのプライシングによる増益効果をコストアップや加熱式たばこへの投資で相殺する想定であるということですね。

為替変動を踏まえると円高想定しているということで減益する見通しとなります。
当期利益についてはそれら諸々に加えて、金融損益の改善などが見込まれるので減益を相殺して、前期とほぼ同等に落ち着く見通しとのことです。

RRP事業の展望としては、昨年の英国展開、そして今年上旬のイタリア展開を皮切りに今後2年間で20か国に展開していく予定となります。

HTSの積極的なマーケティング投資を実施ということで、値下げも含めた施策が今後展開されていき、当面は多少の利益率を犠牲にするかもしれませんが、シェア拡大を目指す想定です。

中期的な展望としてはRRPの主要な展開地域でシェア10%半ばを目指したいとしており、なおかつRRP事業を黒字に持っていきたいとしています。

黒字になるのであれば事業展開はさらにやりやすくなりますし、将来的にも安心感のある事業として見ることができそうですね。

そして、ちょっと不謹慎なのですがChat GPTを使ってたばこの消費量と社会不安について確認してみました。

現在先進国を中心に喫煙はしない方向に進んでいるんですが、僕の母が結構ストレスのかかる時期にたばこ吸っていたことがあって、単純に喫煙者が減る一方という肌感がなかったので気になっていたんですよね。

すると、多くの研究でたばこの消費量と社会不安の間に相関関係があることを示唆している。
たばこ消費が社会不安と関連している理由の一つに、たばこがストレスを軽減するために使用されていることがあげられる。

ただし、たばこの消費量と社会不安の関係性は、複雑なので因果関係を断定することはできない。との返答でたばこの消費量に対する僕の肌感覚と一致していることが確認できました。

続いて、戦争や紛争などがあるとたばこの消費量は増えるのか?という質問に対しては、戦争や紛争があるとその地域のたばこの消費量は増える傾向がある。

これは戦争や紛争による不安定な状況から、ストレスや不安を抱える人が増加するためである。戦争中のアフガニスタンやイラクなどではたばこ消費量が増加したという報告があった。

ただし、インフラが破壊されるなどで供給されなくなると消費量は減る。といった形で戦争・紛争などとたばこの関係性も示されております。

現在、ウクライナ紛争が起こっていますが台湾有事も間近というところですし、社会が大きなうねりを上げるように思うんですよね。

そうした時、たばこはむしろ成長産業になりうるということが示されたわけで、これは頭の片隅に入れておいてもいいと思っています。
個人的にはポートフォリオの安定性を確保するためにも入れておきたいな、と感じている次第です。

ということで、最後に数値を見ていきましょう。
現在のJTの株価は2773.5円。
PERは11.2倍で割安。PBRは1.39倍で妥当な水準です。
配当利回りは6.78%となっていて超がつくほどの高配当となっております。

業績推移はこのようになっていて、近年は売上高が減少傾向にありましたが、現在は少し回復に向かってきているといった状態です。最終益もかなり改善してきていて過去最高の数値まであと少しといったところですね。

配当性向は75%目安ということで、利益次第で上がりも下がりもするので、この点は理解した上で投資判断を下すようにしましょう。

収益性はご覧の通りで、売上営業利益率が23%とかなり高いです。
ROEが12%、ROAが6.7%とこちらも高い水準となっています。

2012年以降数値が改善し数字が安定しているように見えますから、業績を判断するのであれば直近10年をベースに考えると良いかと思います。

財務はBPS、自己資本比率、剰余金と増加傾向となっていて問題ありません。

自己資本比率は一貫して上昇しているというわけではないのですが、下がっても元の水準までちゃんと戻してくるということを繰り返しているので、財務体質は意識して経営されていると思います。

JTの適正株価を計算してみます。
直近20年の平均EPSは142円、適正株価は2542円です。
直近10年の平均EPSは195円、適正株価は3496円。
直近5年の平均EPSは182円、適正株価は3260円となります。

収益性の方でも確認した通り、直近10年が安定した経営となっているのでその期間で見てみるとまだ割安な水準だと言えるでしょう。

現在の剰余金で、直近配当を何年支払えるかの計算になります。
こうしてみるとJTは9年間配当金を支払う余力がありそうです。

15年に届いていないので潤沢な余力があるとは言えないかもしれませんが、配当性向が75%と高いのである程度仕方ないかなというところと、配当性向が75%であるならば利益があまり出なかった年は配当金も大きく落ちるので配当金を支払うために剰余金に手を付けるということはないはずで、その点事業の継続性という意味では安定感があると言えます。

ただ、基本的にはそういったケースもあまり想定されるものではなく、一定の収益を上げる企業であると考えております。

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はい、ということで本日はJTのPloom Xの値下げを皮切りに利益が大丈夫なのか?ということや、直近の決算と今後の見通しを確認してきました。

値下げをしても事業全体に対するインパクトは小さく、利益が大きく棄損するわけではないこと。
それゆえに配当金に大きなマイナスがあるわけでもないこと。
利益が減ることによる事業のマイナス影響よりも、シェア拡大の可能性によるプラス影響の方が大きいことなどを確認しましたが、みなさんはどのような感想を持ったでしょうか?

ということで、本日の情報がみなさんの投資に役立てば幸いです。

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

ABOUTこの記事をかいた人

フリーランスのUIデザイナー。情報設計と構造整理が得意。制作会社の執行役員を経て独立。 現在は技術書執筆やYoutubeで活動中。デザイン、Youtube、株式投資、社会制度の話題が多めです。 拙著「誰でもつくれる!UIデザイン入門」発売中