
こんにちは。ななうみ(@nana_u_mi)です。
今日はYoutueでリクエストをいただきました「極東貿易」を解説していきます。
極東貿易は防衛関連のテーマにも名を連ねている企業ですが、僕としては買えない銘柄だと感じています。
アクティブ運用で勝てると考えている人ならありかも…と思うのですが、僕自身はアクティブ運用しないのでこういった結論になっております。
なぜこのような結論になっているのか、解説していきますのでぜひ最後までご覧ください。
Youtubeにも動画を載せているので、動画で見たい人はこちらからご覧ください(チャンネル登録してくれたら嬉しい!)。
極東貿易

まずは、極東貿易がどんな企業なのか確認していきます。
機械商社中堅ということで、主力は産業向け設備となっております。
高機能材も取り扱っており、防衛関連に強みのある企業ということですね。
専門商社ということで、取扱商品は広く分散していないが、特定のジャンルにおいては強みのある企業と言えそうです。

リクエストをいただいた方からは、極東貿易に限らず高配当な防衛セクターについて考察してほしいとオーダーがあったので、防衛セクターの盛り上がりを受けてこれからの業績回復や株価上昇を期待されているのだと思います。
ということで、防衛テーマはどんな状況かというと、国土防衛の観点から防衛関連の製品を作る企業への関心が高まっている。
防衛整備移転三原則が閣議決定されたことを受けて、今後は兵器輸出にも道筋が見えることや、北朝鮮・ロシア・中国といった地政学的な緊張感も高まってきていることから防衛費の増額、それに合わせた業績の成長が期待されている。
という感じで、レッドチーム以外との取引が主であることや、国内での予算が確保されたことからそこでどの程度の利益があげられるのか?といったことがポイントになる形です。

極東貿易のセグメントは4つに分けられていて
- 機械部品関連部門
- 産業素材関連部門
- 電子・制御システム関連部門
- 基幹産業関連部門
となっています。
売り上げベースではどの部門も等しく拮抗している形ではありますが、利益を見てみると機械部品関連部門の利益率が大きく、それ以外はあまり利益が出ていないように見えますね。
産業素材については一定の利益が残ってはいますが、年によって利益になるときとならない時の差が激しいように思います。

ということで、機械部品関連部門がどのような事業を行っているのかというと、ばねやねじ、ぜんまいといった基礎的な部品を作成している部門になります。
関連会社は2社ありまして、エトー株式会社とサンコースプリング株式会社になります。

エトー株式会社はねじの専門商社として出発したファブレス企業となっていて、現在は国内だけでなく、中国・東南アジアとグローバルに事業展開をしております。

ということで、拠点を見てみるとこんな感じです。
極東貿易としては米国やインド、ドイツにも拠点はあるのですが、エトー株式会社としては海外拠点の多くが中国となっております。
生産拠点が中国外であることは幸いと言えるかもしれませんが、防衛関連銘柄として極東貿易を見たときに、日本にもっとも攻撃してくる可能性の高い中国に拠点が多くあるというのは、いつ操業できなくなるかわからない、取引先として継続できるか不明である点から防衛銘柄としてみるのは厳しいと思います。この点から定性的に投資対象としては不適格であると考えます。

また、サンコースプリングですがこちらは定荷重ばねのコンストンが主力製品となっているばねの製造メーカーとなっております。

モノタロウで定荷重ばねを調べてみると、人気ランキングと書いてあるところの説明には「コンストン」の文字が確認できるものの、おすすめ人気ランキングの上位13位には同社の製品は入っていませんでした。
僕はばねの専門家ではないので詳しい方がいたらコメントで補足いただけると嬉しいのですが、あまり競合優位性がなかったりするのかなぁ…と考えております。
他のセグメントにもいろいろな企業が入っているのですが、安定的に利益を上げているセグメントとしてはこの2社となっていて、正直に言えばねじ・ばねに関しては極東貿易でなければいけない理由はない。と感じました。
こちらも定性的に投資対象としづらいと感じた理由になります。

そして株主還元の方針ですが、2022年3月期より3年間は配当性向100%にすると書いてあるんですよね。
そのため、利益のすべてを還元していくということで個人的にはこの方針は受け付けないっていうのがあります。
100%の配当性向はいずれ下げなければいけないわけで、そうすれば常に減配リスクを抱えることになりますし、還元率が高くていいじゃんと思うかもしれませんが、投資家としては値上がり益を除けば配当利回りがすべてですから、だとすればもっと配当性向低くて同じくらいの利回り水準の企業を買う方がいいのでは?と思います。

と、そんな極東貿易ですが現在の株価は1557円。
PERは19倍と割高。PBRは0.8倍と割安です。
配当利回りは5.23%と高い利回りとなっております。

業績の推移はこのようになっていて、売上高は残念ながら減少傾向にあります。
営業益からEPSも年によって良かったり悪かったりと一定しておらず、安定感を求めるのであれば買えない銘柄のように思います。
今期は配当性向100%ということで、ほぼEPSと同等の配当金を出す予定ですが、それ以前は配当性向が100%を超えている年も多く、長期で安心して保有するのは難しいと感じます。

収益性を確認するとこのようになっていて、売上営業利益率は2%台、ROE4%、ROA2%という感じです。
専門商社ということで、セクターを絞っているのですから総合商社よりは利益率が高くあってほしいというのが正直なところですが、それも厳しい状況という感じです。

フリーキャッシュフローはプラスの年が多くはありますが、営業キャッシュフローがたびたびマイナスになっていることや、投資キャッシュフローが頻繁にプラスに転じていることからあまり健全だとは言えないと思います。

財務はBPS、自己資本比率が上昇傾向ではあるもののBPSは今期かなり下がってしまっているのが気になりますね。
また、剰余金に関しては直近は上昇してきていましたが、2010年前後は大きく剰余金を減らしているため、やはり業績が不安定であることが影響してか長期ホールドには向かない銘柄のように感じます。

極東貿易の適正株価を計算してみます。
直近20年の平均EPSは28円、適正株価は501円です。
直近10年の平均EPSは78円、適正株価は1396円。
直近5年の平均EPSは54円、適正株価は978円となります。
この計算は将来の成長性などを織り込んでいない株価を算出しているのですが、それでも現在の株価より安く出ていることから現在の株価は割高であると判断できそうです。

現在の剰余金で、直近配当を何年支払えるかの計算になります。
こうしてみると極東貿易は10年間配当金を支払う余力がありそうです。
15年に届いていないので潤沢な余力があるとは言えないかもしれませんが、配当性向が近年はかなり高く出ていたので年数が小さく出てしまうのは仕方がないと思います。
とはいえ、これから数年間は配当性向100%だと明言しているわけですし、現時点では剰余金が増えて財務が健全になる未来は描けないことからやはり長期保有には向かない銘柄であると判断しております。

ということで、最後に日足のチャートを確認しておきましょう。
現在は2021年の5月の底値付近から上昇トレンドを作っているところです。
特に直近数日間の株価上昇はすさまじい勢いですね。一応上値も更新しているのでこのまま上昇していく可能性はあるのですが、RSIがかなり高く出ていることからも楽観視は危険だと感じております。
また、現在は防衛セクターが非常に活況となっていますが、個別の企業を十分に分析しないまま利回りや期待感から買われている可能性があることも十分警戒が必要だと思います。
いずれにしても長期保有には向かないと僕の中では結論がでたので、勝てるとすればアクティブ運用になると思いますから、アクティブ運用で勝てる自信のある人だけがチャレンジする銘柄かなと思います。
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はい、ということで本日は視聴者の方からリクエストをいただきました極東貿易について確認してきました。
個人的にはなかなか辛口な評価になってしまったのですが、僕の発信内容がすべてではないですし、人によっては買える銘柄である可能性はありますからあくまで一つの意見だと思って受け止めていただけると幸いです。
このチャンネルではあくまで多くの人が勝てそう、ずっと持っていられそう、僕が安心できそうという銘柄を高く評価するので、その点はご容赦いただけたらと思います。
ということで、本日の情報がみなさんの投資に役立てば幸いです。
本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!