
こんにちは。ななうみ(@nana_u_mi)です。
今日は、先日の市況解説でお伝えしきれなかったチャートに表れない経済指標について確認していこうと思います。
全体感の流れを把握するために2月分をざらっと見ていこうと思いますので、経済環境がこれからどうなっていくのか。大局的に把握したい方はぜひ参考になさってみてください。
Youtubeにも動画を載せているので、動画で見たい人はこちらからご覧ください(チャンネル登録してくれたら嬉しい!)。
雇用統計

まずは雇用統計から確認していきましょう。
ADP雇用統計は非農業部門雇用者数を予測するための指標なので、チェックせずに進みますね。
ということでまずは新規失業保険申請件数から。
こちらは予想19.5万件に対して結果18.3万件と新たに失業保険を申請する件数は予想よりも減る結果となりました。
この数値は1週間ごとに公表されるので続けて見ていくと2月9日には予想を上回る19.6万件に達したものの、以降2週間連続で予想を下回る19.4万件、19.2万件と推移していて申請件数が徐々に減少傾向であることがわかります。
ということは、失業者は少ないのか?というとこちらも予想3.6%に対して結果3.4%と失業者は少なく推移していますね。
米国では失業率3.7%程度で完全雇用状態と考えられているので、それよりも雇用状況が良いということで労働市場は活況となっているように思います。

ただ、リクルートホールディングスの出木場社長が2023年3月期第3四半期決算説明会で話していた内容としては、
- アメリカにおいては求人数が歴史的な高水準であり、労働市場はタイトである。
- しかし、コロナ禍で急増した採用需要はピークアウトしており、2019年以前の状態に平準化してきている。
- イギリスを始め欧州も労働市場はタイトを継続、日本では経済状態が回復してきているがアメリカほど平準化の動きは見られない。
- 仕事を探している人々はグローバルで回復中、IndeedやGlassdoorへのアクセスは増加傾向。
ということで、採用環境は売り手市場から買い手市場に徐々にシフトしていっているように感じるので、今後も長期で継続して完全雇用が維持されるとは考えない方がいいかもしれませんね。
とはいえ、足元の非農業部門雇用者数は予想18.9万人のところ、結果51.7万人ということで大幅に予想を超えてくる結果となっております。
こうしたことを背景に、足元の景気の下支えにはなりそうな予感ですし、雇用が増えているということは、その収入の一部は投資に回りますから株式相場も堅調な動きが期待できると思います。
消費動向

続いては消費動向についてです。
消費者信頼感指数は予想109に対して結果107.1と2ポイントほど下落しています。
とはいえ、いまだ100を超えている点から景気失速の予兆と捉えるには難があるような状態です。
住宅ローン申請件数は週に1度数値が出てくるのですが、前週比で-9%、+7.4%、-7.7%、-13.3%と下落基調で推移しております。
現在の金利動向や物価高を考えれば当然の傾向だと言えそうです。
住宅着工件数も同様に予想を5万件ほど下回る数値で推移しており、中古住宅の販売件数も予想を10万件下回る形で推移しております。
しかしその一方で、新築住宅販売件数こちらは予想を5万件上回る形で推移しております。
ローン申請件数が2月に下がっているので2月分の住宅販売件数は下がることが予想されますが、住宅そのものの需要が減退しているわけではないということですね。
あくまで経済都合で買い渋りが発生しているとみるのがよさそうな印象です。
小売売上高は予想2%に対して、結果3%と上回り推移しましたが、個人所得は予想を下回り、個人支出は予想を上回って推移したことから、消費者の余剰資金はやや減少に向かっていると考えた方がよさそうです。
こうしたことから、この傾向が続くようだと生活必需品は売れるが贅沢品は今後買い控えが起こる可能性があり、住宅が売れるのはもうしばらく先、という形になりそうです。
物価動向

続いて物価動向です。
日本の企業物価指数は予想9.7%を下回り結果9.5%。前回の10.5%も下回ったのでピークアウトしたかもしれないですね。
次の発表がさらに落ち着いていれば物価上昇は一巡したと考えても良いかと思います。
米国の消費者物価、企業物価はともに前月を上回る形で推移しています。
雇用状況も非常に良いということで、値下げに転じるような需要の減退は引き起こされていないように思います。景気もそれなりに堅調だと考えた方が自然ですね。
ユーロ圏の消費者物価は前月比でさらに減少しております。
インフレのピークアウトしたかという感じですが、前年比でみるとまだ上昇を続けている状態です。
肌感覚としては峠を越えたって感じで受け取っております。
景気動向
米国

景気動向を見てみましょう。まずは米国の状況から。
製造業PMIは予想をわずかに上に越えましたが前回とほぼ同様の水準であり、引き続き50を割っていることから景気は悪いという印象になります。
2月の速報値では1%ほど改善しているので少し持ち直しに来ているような状況かもしれません。
ISM製造業景況指数は予想を下回る47.4%となっており、引き続き景気は悪いと感じている人が多い状態です。
耐久財の受注前月と同様の水準で推移しており、こちらは大きな問題はなさそう。
ニューヨーク連銀の製造業景気指数2月分は予想を大きく上回って-5.8となります。
前月と比べると大幅に改善していますし、やはり2月は景気持ち直しているような印象ですね。
第4QのGDPは予想値には届かなかったものの+2.7%と悪くない水準で推移しております。
日本

続いて日本の状況です。
実質GDPは年率で予想+2%のところ結果+0.6%ということで大きく落ち込んでおります。
機械受注を見ても鉱工業生産をみても全体的に予想を下回っており、低空飛行を続けているといった状態ですね。
金融政策

最後に金融政策の動向を見て終わりにしましょう。
FOMCは予想通り0.25%の利上げを実行しました。
オーストラリアも0.25%の利上げですね。
欧州中央銀行とニュージーランドは0.5%の利上げとなっております。
事前予想をあまり裏切らなかったことから市場への影響はほぼなかったように思います。
日経平均も上げ渋っていたようには思いますが、極端に下がったり上がったりといったこともなく堅調でしたよね。
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はい、ということで本日は2月の経済指標をざっと見てきました。
僕としては一番気になっているのは労働市場の今後といったところです。
今はかなり雇用状況が良くて、それが景気の下支えになっている状態ですが、製造業PMIなんかを見ていると景気悪いといった印象で受け取っている企業も多いようだったので、これが労働者に波及していくのかどうかで雇用環境が変わると思います。
もし、失業者が増えるようなことがあればインフレが落ち着くかもしれない一方で景気の悪化が起こる可能性があるので注意が必要といった感じです。
2月の景況感を見る限りではまだ堅調に推移するかなぁとは思いますが、引き続き情報を追いかけていきたいと思います。
ということで、本日の情報がみなさんの投資に役立てば幸いです。
本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!