
こんにちは。ななうみ(@nana_u_mi)です。

こんな疑問に対して、今回は
- 円安になった背景
- その恩恵を受ける高配当銘柄
ということを解説していきます。
最近のドル円相場は10月20日に3年11か月ぶりに、$1あたり114円後半のレートになるなど円安に動いています。
そしてこれは、対ドルだけではなくて様々な通貨に対して同時に起こっています。いわゆる日本円の独歩安という状態です。
円安が起こると
- 日本の製品を輸出する際には利幅を大きくする一方で
- 海外から輸入する際には支出を大きくします
現在日本企業の多くは、業績見通しを$1あたり107円程度で計算していますから、円安の影響で上方修正を発表する企業もあるかもしれません。
ぜひ最後までご覧ください。

Youtubeにも動画を載せているので、動画で見たい人はこちらからご覧ください(チャンネル登録してくれたら嬉しい!)。
目次
円安になっている理由
円安になっている理由は大きく以下の2つ考えられます。
- 海外では利上げが検討され始めているが、日本では利上げの目途が立っていない
- 海外ではテーパリング(量的緩和の縮小)をしていくが、日本は金融緩和を継続する
ひとつが、海外では利上げが検討され始めているが、日本では利上げの目途が立っていない事。
お金はより利益の生まれるところに流れる傾向がありますから、利上げされるであろう海外のお金が買われて円が売られるといった状態になっているということですね。
ふたつめに、海外ではテーパリングをしていくが日本は金融緩和を継続するということ。
これによって海外ではお金がばらまかれないが、日本ではばらまかれるので需給のバランスが崩れるよということですね。
基本的には、数が少ないものの方が価値が高まる傾向がありますから、今後も数が増えつづける円は価値が低くなる公算が大きい、と言えます。
他にも日本の現政権への期待感など理由は考えられますが、大局的にはこの2つの違いが大きいと思います。
今回の円安の流れは短期に収束しないと考えています。
そこで、この円安相場を利用して株で利益を出したいと思い、以下の条件で銘柄を調べてみました。
- 配当利回り3.75%以上
- PBRが1.5倍以下
- ROE10%以上
- ROA5%以上
- 自己資本比率40%以上
- 流動比率120%以上
- 海外売上比率50%以上
これで出てきた銘柄の中から、僕が気になった銘柄を3つ紹介していきます。
ちなみにここで利用している指標は、以前僕が【高配当株投資】高配当株投資をする時に確認する指標の組み合わせとポイントを解説の記事で解説したものをベースにしていますから、気になる方はこの記事も合わせてご確認ください。
JT(2914)
ひとつ目がJT(日本たばこ産業)ですね。
ひとのときを想うのCMで有名な企業です。

高配当株投資と言えばJTを思い浮かべる人が多いくらい有名な企業だと思います。
たばこを主力として、飲料や医薬品なども取り扱っている会社ということですね。たばこ業界では世界3位の会社になります。
たばこと聞くと衰退産業で将来性なんてないと思うと思いますが、世界ではたばこ市場って今後伸びていく予測が出ていますから杞憂かもしれません。

しかも、海外売上比率は65.22%もあるので世界の需要が伸びれば業績の成長もあり得ると思っています。

加熱式たばこは現在IQOSやグローといったたばこ感の強いブランドが主流ですが、JTもプルームというブランド展開していてシェア獲得を目指している最中です。
利回り

この記事執筆時の株価は2271.5円、PBRは1.45、配当利回りは5.72%とかなり高配当となっています。
業績

業績はこんな感じになっていて、年々売上高が下がってきていましたが今年は2018年程度まで回復する見込みとなっています。
昨年まで154円と高い配当金を出していたのですが、今年は減配して130円となる見込みです。

たばこは税金が課されやすいんですが、そのタイミングで値上げがしやすい事や、単価が高くなったとしても一人当たりの消費本数がほとんど変わらないことからうまいバランスを取って今後も事業を継続できると考えています。
EPSが下がってきていますが、海外市場でシェアが伸びていけばここは改善していくんじゃないかなと思います。
それに従って配当性向もマシになるので、配当金は上がるか最悪でも現状維持だと思いますので、長期ホールドする意味では業績面に大きな懸念はないと判断しています。
成長性

成長性を見てみましょう。
2011年と2012年で数字が大きく異なっているのは会計方法が変わったからなので気にしないでください。
ちゃんとJTを分析したことがない人はどんどん売り上げが下がっていってるというイメージを持っているかもしれませんが、こうしてみると実は2012年からずっと横ばいだということがわかると思います。
これは事業の多角化を進めてきている成果や、日本で感じているほど世界的にはたばこが隅に追いやられてないということだと思いますね。
成長性がほぼ横ばいなら、長期投資するにも安心材料になりますよね。
収益性

収益性も前期実績はROE10以上、ROA5以上ということで優秀だと思います。
今年は少し下がってしまってますが、コロナの影響がまだ残ってもいますしある程度は仕方ないところでしょう。
で、JTの強いところがあるのでここだけは押さえてほしいのですがそれが売上総利益率、別名粗利の高さになります。

計算してみると、売上総利益率は60%あるんですね。
業種にもよりますが日本企業の粗利は20%とか30%が普通なので、ビジネスモデルとしては非常に優秀だということがわかります。
キャッシュフロー

キャッシュフローの方はフリーキャッシュフローが常にプラスで、営業キャッシュフローも同水準を維持していて問題なさそうです。
昨年の投資キャッシュフローは関連会社や不動産の売却益があったものということで、事業の選択と集中をしている関係でのプラスなので戦略に則ったものですから問題ないと思います。
現金残高も着実に増えているので問題ないですね。
財務

財務の方も問題ないですね。
BPSも増加傾向、自己資本比率も問題なし、有利子負債倍率も低いのでいうことなしだと思います。

類似する企業とざっくり比較してみても、特に際立ったマイナスポイントは見当たらないと思います。
PCFRも8.9倍と十分納得できる数値だと感じました。
チャート
最後にチャートを確認してみましょう。

こちらは週足のチャートですが長らく上値を抑えられてきていたのが、最近抜けてきて上昇しているのがわかりますね。
そして、直近高値を上抜けしたので次は2,545円を試す展開となると思います。

月足のチャート、超長期で見てもサポートラインに支えられながら上を目指していることがわかりますから、長期的には上がっていくことが予想されると思います。
ジャノメ(6445)
続いてはジャノメになります。
こちらはミシンの会社として有名ですね。
家庭用ミシンの会社としては世界最大手になります。
近年では産業機器やソフトウェア開発といったIT関連の事業も取り扱っています。

セグメント別の売上高はこのように推移していて、事業の約80%前後が家庭用機器、他20%を産業機器とIT関連が占めている状態です。
コロナの巣ごもり需要によって直近2年間は家庭用機器の販売が順調に推移した反面、設備投資の需要が減ったため産業機器が軟調となっています。
海外売上比率は69%とかなり高いため、日本円が独歩安となっている為替相場は業績に貢献すると考えられます。
利回り

この記事執筆時点での株価740円となっていて、PBRは0.49倍で割安、配当利回りは5.41%と高配当となっています。

ただし、配当利回りは今期予想40円のうち15円は記念配当ということなので、来期以降どうなるかわからないという点には注意したいですね。
ちなみに記念配が落ちて25円になった場合の利回りは3.3%となります。
業績

そして業績ですが売上高は例年400億円前後で推移している状態です。
近年EPSが下がってきていましたが、昨年のコロナ特需があってからはEPSが急に10倍近くあがっているのがわかりますね。
今年の予想ではEPSは昨年ほど高くないものの、近年中としてはかなり高い部類に入るようです。
家庭用ミシンという媒体が今後どの程度普及するのかというのと、産業機器の需要が盛り返したときにどの程度受注できるかが注目かなと思います。
成長性

成長性はぱっと見て芳しくない状態に見えますが、グラフにしてみるとこんな感じで一定水準をキープしている状態です。

ミシンで戦うなら需要をどれだけ創出できるかがやはり肝になりそうです。
収益性

収益性もそこまで高いというわけではありませんが、

他のミシンメーカーと比較するとROE、ROAともに松屋R&Dについで2番目に収益力が高いということになります。

売上総利益率も40%ありますから、優秀だと思います。
販管費が高く利益を圧迫しているので、このあたりの改善や市場開拓が鍵となりそうですね。
キャッシュフロー

キャッシュフローは例年プラスですから問題ないでしょう。
直近低空飛行をしていたように思いますから、コロナ特需で手に入れた現金をつかってニーズを創出していってほしいところです。
財務

財務はBPSが増加、自己資本比率も40%を超えているので問題なしですね。
有利子負債倍率も非常に低いですし、

PCFRも低く割安感があるのと、流動比率も180%以上あるため、健全な体質だと思います
チャート

チャートを見てみましょう。
こちらは週足のチャートになりますが、2017年から続く長期の下げトレンドが終了して上昇トレンドの最中となります。
直近株価下がってきていますが、75週移動平均線で反発してますからこのままサポートされて、直近の下げトレンドを上抜けできるかが焦点となりそうです。
昭和真空(6384)
最後に紹介するのは昭和真空です。
真空技術応用メーカー。水晶デバイス製造装置高シェア。光学装置も力。ということで、まったく何のことかわかりません詳しく見てみましょう。
昭和真空の主力商品のひとつである水晶デバイス装置の説明には、
身の回りの電気製品のほとんどに利用されています。クォーツデバイスは、その特長から非常に高い精度が要求されます。
出典:昭和真空
とありますから、移動体端末を含む様々な電気製品に利用されていて、高精度が求められる参入障壁の高い事業だということがわかります。
そんな昭和真空の海外売上比率は75%と非常に高く、円安のメリットを大きく受け取ることができそうです。
懸念があるとすれば、現在半導体不足で電気製品の生産が伸び悩んでいることでしょうか。
利回り

記事執筆時点での株価は1539円、PBRは0.97倍で割安、配当利回りは3.9%となっています。
業績

業績を見てみると、一定の売上を維持しているようには見えますね。
景気と為替の影響を受けやすい銘柄だと思いますから、最終益やEPSが安定しないのはある程度仕方のないところかな…という印象です。
配当性向は今年は40%程度になりそうなので、高すぎる事もなく高配当株としては妥当なラインかなと思います。
成長性

成長性は高いとは言えませんね。
毎年の売り上げも安定していないように見えます。
2010年以降は長期目線で見れば売上も上昇傾向に見えるのでこの点は良いと思います。
収益性

ROE、ROAはまずまずといったところですね。

売上総利益率の推移はグラフで見ると青いラインになります。
この通り、近年は上昇傾向にありますからこの点は評価したいポイントです。
キャッシュフロー

キャッシュフローは例年プラスで問題ないですね。
営業キャッシュフローもプラス幅が増えてきているのは頼もしいと思います。
現金残高も順調に積みあがっている点もGOODです。
財務

財務はBPSが増加傾向、自己資本比率も60%以上と問題ないですね。
有利子負債倍率も非常に低いので利息の支払いは極端に少ないと言えるでしょう。

PCFRは8.5倍で良い数値だと思います。流動比率も216%ありますから、財務は健全だと言えます。
類似する企業と数値を比べても、極端に悪いということはなさそうですね。
ROAが他社に比べて高いのは評価できる点でしょう。
チャート

最後にチャートを見てみましょう。
こちらは2015年以降の週足ですが、2015年以降続く上昇相場に乗っていると見えるものの2017年以降の下降ラインに上値を抑えられているようにも見えます。
長期の三角持ち合いに入っていると思いますから、この持ち合いを上に抜けたら買いで入るのが良いかなと思います。
その後は1,900円の付近で抵抗すると思いますので、そのあたりでもみ合うかと思いますが1,900円も上に抜けるようならさらに追加で入ってもおもしろいでしょう。
世界の動きを感じながら株にどう反映されるかをイメージしよう
ということで、為替が円安になった恩恵を受けそうな銘柄3つの紹介でした。
株価は為替だけに連動するわけではないので企業が恩恵を受けたからと言って、必ずしも株価が上がるというものではありません。
ですが、材料を見つけて投資機会があるのかを知ることは重要ですから、ぜひ参考にしてみてください。
とはいえ、未来は誰にもわいつも言っていますが未来は誰にもわかりませんから、投資する際には自己責任でやっていきましょう。


ということで、今回の解説は終わりたいと思います。
この記事の内容が、少しでもみなさんの役に立てばうれしいです!
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これからも共に学んでいきましょう!
最後まで読んでいただきありがとうございました!