抽象化する技術・思考力の鍛え方【本質的な課題に気づく】


物事は表層で見えているものではなく、その裏側を理解することが大切だったりします。

今回は、そんな裏側の理解に役立つ「抽象化する技術・思考力」について話をします。

僕はデザインの現場でこの技術を使って様々な提案をしていますが、デザイン以外の現場やブログや技術書の執筆でも役立ちます。

抽象化する技術・思考力が身につくと、本質的な課題に気づけたり、表層課題の分類ができたり、早い段階でNGに気づけたりといったメリットがあるので、ぜひ身につけましょう。

抽象化とはなにか?

そもそも抽象的というのはどんな意味かというと物事の表層から性質・要素・共通項などが引き出された状態のことを指します。

対義語になるのは具体的という言葉で、物事がはっきりしている状態を指しています。

わかりやすく例文で説明しますね。

運動会の最終種目はクラスの団結力が試されるものがいいと思います。
例えば、綱引きです。

この場合「クラスの団結力が試される種目=抽象的」「綱引き=具体的」ということになります。

つまり、具体的なものを抽象的に把握することが抽象化する技術・思考力だといえます。

抽象化する技術・思考力が身につくメリット

抽象化する技術・思考力が身につくことで得られるメリットはいろいろあります。

具体的なものから解像度を落としてちょっと引いてみることで、本質的な点に気づくことができたり、シンプルに考えることができて思考がクリアになったり、いろいろな具体的事象の共通項を見つけることができたりといった形です。

とても応用の利く技術なので、抽象化するくせが付くと、いろいろなシーンで役に立ちます。

とあるお菓子屋さんの1日の売り上げを例に見てみましょう。

20代のAさん、Bさん、Cさんが洋菓子を買った。40代のDさん、Eさんが和菓子を買った。

こんなケースの場合、具体的に起きたことは
・Aさんが洋菓子を買った。
・Bさんが洋菓子を買った。
・Cさんが洋菓子を買った。
・Dさんが和菓子を買った。
・Eさんが和菓子を買った。
ということになります。

これを抽象化して考えると
・20代の人は洋菓子を買う傾向がある。
・40代の人は和菓子を買う傾向がある。
・店のお客さんは20代の人が多い。
・年齢が若いと洋菓子が好きな傾向があるかもしれない。
・和菓子の良さが若い人に伝わっていないのかもしれない。
などなど、抽象化したことで具体的事実以外の類推される課題に気づくことができます。

抽象化する技術・思考力を身に着ける方法

抽象化する技術や思考力の鍛え方の、おすすめの方法は3つあります。

端的に表現する

具体的な事象は解像度が高い代わりに本質的ではない情報も多く含まれています。

なので、まずは事象の本質的な部分を端的に表現してみましょう。

例えばこんな事象があったとします。

顧客情報を取得したいので、商品購入フォームの入力項目を増やしたら購入に至らない人が増えた。

具体的な事象は上記の通り。
ここから具体的な学びを得ようと思ったら「商品購入フォームの入力項目を増やすと購入しない人が増える」ですね。

これを抽象化して端的に表現すると「お客さんは面倒な手間を嫌がる」となります。

このくらいまで解像度を落としていくと、端的に表現しやすくなります。

コツはまだ具体的だな…と感じるときに「ってどういうことだっけ?」と問いかけるとうまく抽象化しやすいです。

類似する項目を見つける

具体的な事象をいくつか見ていくと、一見関係のなさそうな情報が紐づいて見えるときがあります。

そんな時は、その関連性ってなんだっけ?と考えてみるのがおすすめです。

例えば

弊社からのダイレクトメールを受け取った人は、ほとんど読まずに捨てる

これだけ見ると「物理的な手紙やはがきは面倒だから捨てられやすいよね」と思うかもしれませんが

弊社からのメールマガジンをを受け取った人は、ほとんど読まずに捨てる

という情報も合わせてみると、「弊社からの連絡はほとんど読まずに捨てられている」という共通項を見つけることができます。

こうした類似する項目を集めていくと、例えば「セールスメールは読まれない傾向にある」といった抽象的な課題に気づきやすくなります。

図解して考える

もうひとつおすすめなのが、図解して考えることです。

これは前2つよりも手を動かすという意味でおすすめです。

図解をするときって、1から10まで全部の情報を図に入れるのは難しいじゃないですか。すると、自然と不要な部分を省いて書くケースが多くなりますよね。

実は、この時点で具体的情報から抽象的情報に変化しているんです。

なので、図をかける環境にある時は図をかいて整理してみると抽象化しやすいですよ。目で見て確認もできるので、ある程度慣れてくると図を書かなくても頭で描くことができるようにもなります。

注意:曖昧に表現するということではない

注意したいのが、抽象的な理解というのが曖昧な状態ではないということです。

曖昧とは、こうともいえるし、こうじゃないともいえる。みたいな感じで、2つ以上の意味で受け取ることができる状態のこと。

抽象化して理解するということは、解像度は低い状態だが断定できる学びがある。という状態になっていることを確認しましょう。

解像度が低いうえに曖昧だと、理解もできていないですし学びもない状態で最悪です。

抽象化する技術・思考力を鍛えましょう

ということで、抽象化する技術・思考力の鍛え方を見てきました。

抽象化して考えることをあまりしていなかったなという人も、してきたつもりだけどもっと日ごろから抽象化したいという人も、参考になる部分があれば幸いです。

抽象化するのはある種メタ的な技能だと思うので、場所・時間・内容を問わず使える人としての思考スキルです。
考え方の視座も上がると思いますので、ぜひ参考にしてみてください。

ABOUTこの記事をかいた人

フリーランスのUIデザイナー。情報設計と構造整理が得意。制作会社の執行役員を経て独立。 現在は技術書執筆やYoutubeで活動中。デザイン、Youtube、株式投資、社会制度の話題が多めです。 拙著「誰でもつくれる!UIデザイン入門」発売中