日本はWebデザイナーの年収が低いのですが、年収を高める方法があります。
それを紹介します。
僕はWebデザイナーからキャリアをスタートして、今はWebやアプリのUIデザインを中心にやっています。年収はだいたい1300万円くらい。
特別な能力があったわけでも、業界内で有名なわけでもない(むしろ無名といっていい)ですが年収の低さから脱出することができました。
なので、今Webデザイナーをやっているすべての人に、このくらいの金額を稼ぐことはできると思っています。
目次
Webデザイナーの年収が低い理由
年収の低い理由は大きく2つあると考えていて、こんな感じです。
- デザインしている領域が狭い
- 論理的な思考やコミュニケーションの能力不足
デザインしている領域が狭い
例を挙げると「ワイヤーはディレクターが作って、デザイナーはグラフィック的にキレイにする」とかが領域が狭いということです。
ですが、業務の多くの部分が「グラフィック設計」にしか携わっていないデザイナーであれば、職域分の仕事を十分にできているとは言えないでしょう。
そして、制作会社にも事業会社にもこうした「グラフィック設計」だけを担っているデザイナーが実はとても多くいます。
本来の業務を一部しかやっていないなら、給料が低くなるのは当然といえます。
とはいえ、会社によってはワイヤーはディレクターが作ると決まっていて手が出せない。ということがあるかもしれません。
そんな場合は、ディレクターの仕事をデザイナーの目で精査して、設計意図が正しくUIに反映されているか確認したり、そもそも設計意図が正しいと思えるかを確認したりするといいと思います。
間違っていると思った場合は、ディレクターと会話をして修正しましょう。
こうした行動を積み重ねることで、徐々に上流工程を任せてもらえたりします。
論理的な思考やコミュニケーションの能力不足
多くのデザイナーと仕事をしていますが、論理的に話せてない人が多すぎます。
Webデザイナーは最終的なアウトプットはグラフィックを作ることですが、本来の目的は「ある課題を解決するためにWebサイトを作ること」ですよね。
にもかかわらず、作成したデザインの提案において「課題を解決するために、このように考えてこの設計にしました」と、きちんと言える人がまだまだ少ないです。
アウトプットについていろいろ質問していくと、回答に詰まってしまったり、回答で言っていることがちぐはぐだったりすることがあって、アウトプットにGOサインを出せないということが起きがちです。
そうした状態を回避するためにも、どのように考えて最終的なアウトプットになったのか論理的に説明できるようにしましょう。
論理的に説明できるように作ろうとすると、作業中も考えが整理されて高い品質のものを作れるようになります。
これら2つの能力を補っていれば、少なくとも収入が低すぎるという状態からは脱しやすいと思います。
ぜひチャレンジしてみてください。
年収1000万円を目指す方法3選
ここからは、高い年収を目指す方法を書いていきます。
方法はいろいろあると思うのですが、僕的に再現性の高い方法を3つ紹介します。
- 1.情報設計やUX領域のスキルを高めて、上流工程から参加できる人材になる
- 2.イラストなどデザイン外のスキルを高めて、ワンストップで対応できる人材になる
- 3.アプリや紙などの制作スキルを高めて、さまざまな制作業に対応できる人材になる
最初に断っておくことがあるのですが、どの方法についても「会社員のままでは1000万円を目指すのは難しい」ですし「能力を伸ばしても即座に給与には反映されない」です。
この記事を見ている段階では、開発するべき能力と自分がそのポジションで働いているイメージができたらOKだと思います。
ゆくゆく今より評価される会社に転職したり、独立するなどを視野に入れるといいでしょう(場合によっては副業で稼ぐということもありだと思います)。
1.情報設計やUX領域のスキルを高めて、上流工程から参加できる人材になる
グラフィック設計以外の部分に、作業領域を広げていくスタイルです。
より本質的な課題を解決するWebサイトを作ることに特化し、Webサイトをトータルで設計します。
コンサルタント的な動きをしつつ、抽出された課題をまとめて本質的な打ち手を考える。といった働き方になります。
サイトやサービスの上流に携わるため、じっくり粘り強くコミットしていく感じ。
フリーランスになってフルコミットするというやり方はおすすめです。
2.イラストなどデザイン外のスキルを高めて、ワンストップで対応できる人材になる
イラストやライティング、データ分析といったデザイン外のスキルを習得して、職域を広げるスタイルです。
従来、外注していた仕事を自分で受けることでワンストップでデザインを作成できるのが強み。
デザイン外にどのようなスキルを身に着けるかで働き方や需要は変わりますが、各スキル単体でも手離れのいい仕事を取れるので、副業しやすいといえます。
3.アプリや紙などの制作スキルを高めて、さまざまな制作業に対応できる人材になる
Web以外にもアプリや紙の制作スキルを高めるスタイルです。
作れるものを増やして、アプリもWebも同じデザインテイストを守るだとか、全体感をそろえるといった働き方ができます。
その他にも、名刺づくりなど手離れのいい仕事を取れるので、副業もできるといえるでしょう。
僕のスキルセット
例として僕のスキルセットで言うと、ぶっちゃけ1~3番で紹介した手法は全部やってます。その中で特に得意なのは1番という感じ。本質的な課題を解決するのが好きです。
働き方としては、案件の上流から入ってプランニングからデザインまでやっています。
サービス全体を俯瞰して見たいのでアプリも紙も作るし、必要ならイラストやライティングもやっています。
データ分析はできないですけど、出力されたデータから課題を探すのはやるという感じです。
個人でサイトを作るときは自分でコーディングすることもありますが、基本的には業務では専門の人に任せています。
年収1000万円を達成するためには、これらすべてをやらないといけないわけではありません。
かけ合わせるものが多ければ多いほど、市場における価値は高まるのは事実ですが、まずは土台となる高いスキルセットを持つことが大切だと思っています。
グラフィック能力を極限まで磨きこむのはおすすめしない
グラフィック能力を磨いて究極の美しさを求めるという方法もありますが、個人的には年収を上げる観点ではおすすめしません。
グラフィックで100点を目指してもぶっちゃけ世の中的には80点のものと大差ないという扱いですし、大差ないものに大きなお金を払ってくれるかといわれると微妙です。
ついでにいえば、能力はレベルが上がれば上がるほど次のレベルに上がるまで果てしない努力が求められるのでかなり茨の道なんですよね。
100点のグラフィックを作れるのは普通にすごいことですし、尊敬もできるのですが収入を上げるならほかの道を探す方が早いと思います。
スキルはあるのに給料が低い場合はどうしたらいい?
残念なことに、上記で上げたようなスキルはあるのに給料が低い場合があります。
そんな時は、転職したり独立することを考えましょう。
というのも、給料はスキルが高ければ高まるというものではないからです。
給料を決めるメカニズム
給料は「業種」「ビジネスモデル」「提供価値」で決まります。
それぞれ「環境」「会社」「個人」と言い換えることもできます。
世の中の業種はどこも同じように儲かっているわけではありません。
現時点で儲かる業種は「不動産」「金融」「IT」と決まっています。
例えばWebデザイナーはITの仕事ですが、飲食業のインハウスデザイナーだった場合は業種的には飲食業になります。
飲食業は競争が激しく、利益率も高くない(これがビジネスモデル)のでWebデザインに支払うことができるお金は少なくなります。
支払われるお金が少なければ、給料が大きくなることはありません。
制作会社勤務の場合でも、同じ力学が働くので取引先に儲かる業種の会社が多いか見てみるのがおすすめです。
また、ビジネスモデルという点で気にするのは「手を動かした分だけ収入につながる」モデルかどうかを見てみましょう。
手を動かした分だけ収入になるのは労働収入です。
つまり、そのモデルで働いているWebデザイナーが収入を増やそうと思えば、より多くの労働をするしかありません。
ネット上のシステムがサービス提供をするようなビジネスモデルであれば、お客さんが増えるごとにWebデザイナーの作業が増えるということはありません。
収入を上げるには、こうしたモデルの会社がいいです。
業種もビジネスモデルも悪くないのに、給料はなぜか低いということであれば「個人のスキルや業務に対するマインドが低い」か「正当な評価をしない会社」ということになります。
前者であれば努力しましょうとしか言えませんが、後者であればさっさと転職しましょう。
僕の経験上ですが、よほど強い意志がなければ会社を中から変えるよりも、転職してしまった方がメリットが大きいです。
まずはスキルアップから
ざっと説明しましたが、こんな感じです。
給料や年収が低いと感じているWebデザイナーの人に、低い理由が伝わればうれしいです。
個人のスキル不足が原因であればスキルアップから始めるといいですし、そうでなければサクッと転職するのがおすすめです。
僕も、転職するのがおっくうだったり責任感からなかなか踏ん切りがつかなかった時期があるんですが、ぶっちゃけもっと早くに転職してればよかったと思うことがあります。
デザイナーと転職関連の話をすると結構な頻度で「僕が辞めちゃうと会社が困るし…」って言われるんですが、気にしなくていいです。
会社ってのは組織なので、人が辞めて困るような組織体制を組んでいるのは経営側の失策なんです。デザイナー個人にはなんの落ち度もないので、サクッと転職しましょう。— ななうみ⛺ 技書博 2F-け02 (@nana_u_mi) November 9, 2019
というわけで、今回はこのくらいにします。