
こんにちは。ななうみ(@nana_u_mi)です。
今日は稲畑産業とSUBARUの決算がでましたので解説していきます。
決算では稲畑産業は想定と大きくぶれない減益幅、下方修正なし、自社株買い発表と総評して問題ない内容だったと思います。SUBARUについては利益こんなに膨らんだのかと驚くような内容となっておりましたが、中身を見てみるとそうでもないことがわかりますので、ぜひ最後までご覧ください。
Youtubeにも動画を載せているので、動画で見たい人はこちらからご覧ください(チャンネル登録してくれたら嬉しい!)。
稲畑産業

まずは、稲畑産業から見ていきましょう。今回は第3四半期の決算です。
累計の連結経常利益は前年同期比13.7%減ということで、業績は足踏みしている状態です。
通期計画に対する進捗率も75%と過去平均と比べると進捗しなかった形になっております。
季節要因があるので単純には言えませんが個人的には1年の3/4の時点で75%なので極端に悪いという印象は持っておりません。

経営環境としては
- 米国で緩やかな景気持ち直し
- 中国では景気の持ち直しが足踏み状態
- タイ、インドでは景気持ち直し
- インドネシアも緩やかに持ち直し
- 欧州ではイギリスとドイツが足踏みしているが、ユーロ圏では緩やかに持ち直し
- 日本は緩やかな持ち直し
という中で
- 売上高は円安効果もあって11%増加
- 営業利益1%減少
- 経常利益14%減少
- 純利益16%減少
といった形になっております。

セグメント別に見てみましょう。
上の表が昨年、下の表が今年になります。
売上高は情報電子以外はすべて増加しておりますが、情報電子、生活産業が営業益が減益となっております。
トータルとしては160億の利益ということで、前年比2億円マイナスにとどまっている点は、化学品セクターが苦戦している銘柄もあるところを見ると、うまく耐えている状態に思えます。

こんな中、自己株式の取得が発表されております。
取得する理由としては、総還元性向50%を目安にしていることと、中期経営計画で政策保有株式の売却を進めている中で、その利益を還元に充てるということがあげられております。
ということで、発行済み株式総数の約2%にあたる株式を購入し、購入した株式はすべて消却する方針であることが記されております。
総量としてのインパクトはそんなにありませんが、消却する方針なのは嬉しいですね。

ということで、動画撮影時点の株価は2525円。
PERは7倍と割安。PBRは0.8倍と割安です。
配当利回りは4.55%ということで、高配当な状態となっております。
引き続き買っていってもいい水準の銘柄だと感じております。

業績の推移はこのようになっていて、今期は利益面が昨対比で減益してしまいますが、売上高、最終益共に長期にわたって着々と成長しているのがわかります。
この点からも長期で保有できる銘柄だと感じます。

収益性はこちらのようになっております。
売上営業利益率は2.6%とかなり低い状態ですね。
商社は基本利益率が高く出ないので仕方のないところではありますが、欲を言えば3%中盤までは回復してほしいところです。
じりじりと利益率は上がってきているように思いますので、今後に期待といったところですね。
ROEは11%、ROAは5%となっております。直近2年間は円安の影響もあったでしょうから、やや値引きしてみる必要があると思いますが、こちらは良い数値ですね。

財務は、BPS、自己資本比率、剰余金が増加傾向となっております。
自己資本比率も目安となる40%を超えていますし、今のところは問題のある水準ではないと思います。

適正株価を確認してみます。
過去20年の平均EPSは148円、適正株価は2655円となります。
過去10年間で見てみると平均EPSは217円となり、適正株価は3883円。
過去5年間で見てみると平均EPSは283円となり、適正株価は5062円となります。
業績が長期にわたって安定して成長してきていることや、その割に過去20年分の平均EPSを基に算出した株価水準を超えていないところから、まだまだ割安な水準であると言えそうです。

剰余金だけで直近配当を何年支払えるかの計算になります。
稲畑産業は20年間、配当金を支払うことが可能なようです。
他の専門商社と比べると兼松と同水準となっております。
他の銘柄では30年50年といったところもありますが、20年分の剰余金があるのであればひとまずは安心と言えるでしょう。
SUBARU

続いてSUBARUを確認してみましょう。こちらも第3四半期の決算ですね。
連結最終利益は前年同期比2.5倍ということで絶好調な業績と言えそうです。
とはいえ、通期計画に対する進捗率は過去4年平均を下回る73%となっている模様です。
特別問題視する必要はない水準だと思いますが、ギリギリ通期目標を越えないかもなーという肌感覚は持っていた方がいいかもしれませんね。
また、絶好調と言ってもこの裏にはトリックが隠されているので後程確認していきましょう。

決算の概要ですが、全世界の生産台数は半導体を中心とした部品供給課題が継続しているものの、生産計画を柔軟に調整することで22%増加させることができたとなっております。
国内生産台数は30%増、海外生産は7%増ですね。
全世界販売台数は、重点市場である米国や国内を中心に堅調に推移しており、前年同期比16%増となっております。台数が出ているのは嬉しいことですね。
売上は為替影響や、販売台数の増加の影響もあり40%増加する形です。

セグメント別の収益はこのようになっております。
全セグメントの大半を占める自動車において、前年同月比で売上40%増、利益180%増となります。
利益が3倍近く伸びているのでこの点がかなりのインパクトになりますね。

ということで動画撮影時点の株価は2118円です。
PERは7.7倍で割安。PBRは0.8倍で割安となります。
配当利回り3.59%と税引き後で3%の利回りはないものの、市場平均よりは高配当な状態です。

業績推移はこのようになっております。
売上高は順調に成長を続けておりますが、最終益の方は年によっての波が激しい状況です。
こうして長期間の利益推移を見ていると、前期の3倍近い利益を出したんだから増配してくれとか自社株買いしてくれとかは言いにくい状況下に見えますよね。

売り上げが35%しか増えてないのに、なぜ利益が3倍になっているのかというと、シンプルに粗利は大きく伸びたのに、販管費が昨年とほぼ同等だったためとなります。
営業収益が3倍に伸びたので経常益、純利益もその影響を受けたという形になります。

収益性はこのようになっていて、営業利益率は8%となります。
悪くない数字ですがあと2%ほど上がってほしいなという状況です。
ROEは10%、ROAは5%で目安となる水準に達していますから、この点は問題ありません。

財務はBPS、自己資本比率、剰余金共に増加傾向となっており問題ございません。
自己資本比率も目安となる40%を超えていますし、長らく50%のラインをキープしていますから安定感がありますね。

適正株価を見てみると、
過去20年の平均EPSは149円、適正株価は2674円です。
過去10年で見たときの平均EPSは267円、適正株価は4779円。
過去5年で見たときの平均EPSは169円、適正株価は3020円となります。
どの期間で切り取っても割安ではありますね。
利益ベースでみると直近5年よりも過去10年の方がEPS高いですから、利益面で過去の業績を超えてこれるのか?というのが目下の課題だと感じております。

剰余金だけで直近配当を何年支払えるかの計算になります。
こちらはSUBARUが36年となっており、業界トップのトヨタとほぼ同等水準ですので問題ないと思います。
日産は驚異の198年分の剰余金がある形になっていますが、特殊な例だと思うのであまり気にしなくていいでしょう。
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はい、ということで本日は稲畑産業とSUBARUについて決算内容を確認してきました。
稲畑産業は売上上昇しつつも利益面ではやや減益している状態でした。
とはいえ、政策保有株式の売却益を通じて追加の自社株買いを発表してくれたのは良かったですね。
SUBARUは利益が3倍とかになっていましたが、直近2年間が業績低迷していましたので、ようやく通常運転に戻ってきたという言い方が正しそうです。
そのため株主還元拡充の発表がなかったのは仕方ないかなぁ…という印象です。
ということで、本日の情報がみなさんの投資に役立てば幸いです。
本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!