
こんにちは。ななうみ(@nana_u_mi)です。
今日は三菱HCキャピタルとENEOSの決算がでましたので解説していきます。
今日の決算では三菱HCキャピタルは順調な内容だったものの、ENEOSについては昨年から大きく減益する形となりました。そのため、みなさんの中には不安に思っている人もいると思いますのでぜひ最後までご覧ください。
Youtubeにも動画を載せているので、動画で見たい人はこちらからご覧ください(チャンネル登録してくれたら嬉しい!)。
三菱HCキャピタル

まずは、安心してみていられる三菱HCキャピタルから見ていきましょう。
今回は第3四半期の決算です。
累計の連結経常利益は前年同期比33.3%増ということで、業績は非常に好調となっています。

今回の決算のハイライトとしては
- CIAの利益貢献や貸倒関連費用の減少などにより純利益は13.4%増益
- 通期業績予想に対する進捗率は78.1%
ということで利益も伸びてるし、進捗率も順調で良い内容だったと思います。

損益の内訳を見てみるとこんな感じで、
- 事業成長でプラス267億円
- 貸倒関連費用の減少でプラス149億円
- 経費が増えてマイナス142億円
- 特別損益として前期の政策保有株式売却益剥落によってマイナス221億円
- その他プラス48億円
となっていて、差し引き101億円のプラスとなっております。
貸倒関連費用について軽く触れておくと、あらかじめ返ってこないかもなという費用を計上しておくものです。
思ったよりもちゃんと帰ってきたということで当初予定よりもプラスだったよという感じですね。
事業成長がかなり伸びていて、純粋に強いなという印象です。
今期は特別利益の剥落の影響で純利益の伸びはそこまででもありませんでしたが、来期はその剥落も関係なくなりますから、また順当な成長が期待できそうですね。

セグメント別の状況はこんな感じで、おおむね成長しているといった状況です。
海外地域と航空のセグメントが前期比で悪化している状態ですが、ここでは影響の大きい海外地域のセグメントを確認していきましょう。

こうしてみると、売上総利益は実は昨年よりも伸びていることがわかります。
ではなぜ利益が下がったのかというと、先ほど出てきた政策保有株式の売却益が剥落したことがあげられます。
ということで、このセグメントの減益要因は本業以外にあり、本業は極めて順調ということですね。
ちなみに余談ですが、このセグメントを見てもわかる通り中国経済は明らかに失速しているので、こういったところは他銘柄への投資などでも活かせる情報かなと思います。

また、今回の決算で子会社だったJIIを完全子会社化して吸収合併する旨も発表されております。
業績全体に与える影響は軽微だと記載がありますね。
ただ、合併を通して効率化もされるので極端な悪影響は出ないと思いますが、JIIの直近の業績は純利益53億円のマイナスであることは覚えておきましょう。

ということで、動画撮影時点の株価は679円。
PERは8.9倍と割安。PBRは0.63倍と割安です。
配当利回りは4.57%ということで、高配当な状態となっております。
引き続き買っていってもいい水準の銘柄だと感じております。

業績の推移はこのようになっていて、売上高からEPSまで順調に成長してきていることがわかります。
それに伴い、配当金も徐々に上がってきているので投資先としては長期的に見ても有望だと思います。
企業が保有している資金量が増えてきているとはいえ、不確実性の高い社会において、自前で大掛かりな設備投資をするよりもリースで済ませてリスクをコントロールするというのは、ニーズとしては強く存在しているためですね。

さて、収益性はこちらのようになっております。
売上営業利益率は6%といまいちな感じとなっております。
同業のオリックスやみずほリースなんかと比べてもやや低い状態です。
ただ、過去には10%近い数字を維持していた期間もあるので、潜在力はあると考えます。
2年前にはコロナの影響で、昨年はコロナ影響と日立キャピタルとの合併で効率が確立できなかったと捉えることもできます。
業績そのものはいいので、今後は利益率の改善にも期待したいところです。
ROEは7%、ROAは1%となります。
一般的な水準と比較すると低いのですが、こちらは競合と比較すると大差はない状態となります。

財務は、BPS、自己資本比率、剰余金が増加傾向となっております。
自己資本比率は目安となる40%からかなり下ぶれた水準となりますが、リース業は資金調達をして貸し出す商品を用意し、利益を上げるビジネスモデルですから自己資本が低くなるのは必然とも言えます。
ある程度は仕方がないと考えます。
その代わり、長期にわたって貸し出すことで業績の推移は安定するという側面があります。
好みは分かれるかもしれませんが、一概に悪いというわけではないということです。

適正株価を確認してみます。
過去20年の平均EPSは30円、適正株価は541円となります。
過去10年間で見てみると平均EPSは44円となり、適正株価は800円。
過去5年間で見てみると平均EPSは55円となり、適正株価は984円となります。
業績が順調に拡大してきていますので、過去20年間では適正株価を測れないように思います。
直近の10年、5年で見る方がより正しい値になりそうです。
そのように考えると現在株価はまだまだ割安な水準と言えそうです。

剰余金だけで直近配当を何年支払えるかの計算になります。
三菱HCキャピタルは17年間、配当金を支払うことが可能なようです。
他のリース会社と比べるとやや見劣りする年数ではありますが、基本的に15年を超えていれば多少の余裕があると判断しています。問題のある水準ではないでしょう。
ENEOS

続いてENEOSを確認してみましょう。
こちらも第3四半期の決算ですね。
連結最終利益は前年同期比71%減と大きく落ち込んでおります。
あわせて、通期の同利益を従来の3300億から1400億に大幅な下方修正をしております。
ここだけ見るとかなり苦しい状態ですが、個人的には悲観する必要はないと思っています。

第3四半期累計決算の推移を見てみると、売上高は昨年を超えた水準となっています。
そのため、売れていないわけではないということがわかります。

通期の業績見通しとしては売上高が1.3%減少のマイナス2000億円。
営業益からEPSまでは50%近く減益する予想となっております。

通期業績見通しのハイライトになります。
ENEOSは石油を仕入れて加工・販売しています。
仕入れた時期によって石油価格は変動するのですが決算ではそれを時価に直して発表する必要があるため、一般的な営業利益を見てもあまり意味はありません。
ということで、重要なのは「在庫影響を除く営業利益」となります。
そちらを見てみると、11月公表の3400億から1200億マイナスの2200億となります。
主なというかすべての減益理由はエネルギーセクターとなっていますね。

さて、ENEOSは今回の下方修正の前に上方修正を発表しています。
その内容もおさらいしておきましょう。
上方修正の内容としては在庫影響ありの営業利益を3400億円から5600億円にするというものでした。
在庫影響を除いた営業利益は変更なしですね。
今回の発表では在庫影響ありの営業利益が3200億と11月の発表前の状態にほぼ戻り、在庫影響を除いた営業利益も減少する形となりました。
そのため、今回の決算では上方修正した分を下げたというよりは、シンプルにもともとの予想より下がったという状態だと考えております。
これはダメージ大きいですね。
ただ、これをもってしても個人的にはまったく悲観的になっていません。
長期では買いだと考えます。これからその理由を話していきます。

ということで、いつもと流れは異なりますが業績推移を見てみましょう。
こうしてみてみると、長期的には売上高が拡大傾向、損益も拡大傾向であることがわかります。
そして、過去20年を振り返ってみても安定して利益が拡大している時期はないということが確認できます。
つまり、原油価格などはENEOSの努力ではどうしようもない事象だということです。
石油を取り扱っている企業はどこもこのどうしようもない事象とうまく折り合いをつけながら事業を展開しているわけですから、対競合で見たときはこの条件はフェアですから、乱暴な言い方をすれば特に気にする必要はないということですよね。
そして、今期マイナス70%減益となっていますが、それは昨年が良すぎた反動であるということもわかるかと思います。
というか、今期の利益水準は過去を見てみると別に悪くない数字だというのも確認できます。
これだけ前年比で減益しても、配当性向は50%以下ですし全然余裕がある点も僕が悲観しない理由のひとつですね。
つまり、短期的な業績ではなく長期で見たら今回のような決算はよくあることで気にする必要がないということです。
むしろ感情に任せて売ってくる人がいれば下値で拾うチャンスでしかないと考えています。

ちなみに株主還元の方針を確認しておきましょう。
2022年の期末配当は変化なしで11円の予想となっています。
理由は第二次中期経営計画において年間配当22円は下限配当としているためです。
その中期経営計画は2022年で終りますから、来年以降の中期経営計画の内容次第では減配も増配もあり得る事でしょう。

ただし、先ほどの業績推移を見てもわかる通り配当金は一定水準をキープした後ちょっと増配して、またその水準をキープして…というのを繰り返していますよね。
ですから、実際どうなるかはわかりませんが個人的には次回の中期経営計画では配当維持、もしくは24円程度への増配あたりが可能性高いと考えています。

ちなみにENEOSは昨年結構大規模な自社株買いを行ったのですが、今日の決算に合わせてその取得した株式を消却すると発表しています。
消却日は2月14日で発行済み株式総数の6%がこの世から消滅する形になります。
この消却発表によって株価はあほみたいに下がったりはしないと思いますから、その意味でも安心して買い向かうことができます。

ということで動画撮影時点の株価は456.4円です。
PERは9.8倍で割安。PBRは0.49倍で割安となります。
配当利回り4.82%となり高配当ですね。
みんな感情的になって440円を割るほど売ってきてくれないかなーと思うばかりです。

収益性はこのようになっていて、営業利益率は昨年から大きく下がって2.18%となります。
例年通りの利益率に戻ったという方が正しそうですね。
ROEは4.99%、ROAは1.31%とこちらは例年よりも低めの水準です。
とはいえ過去を振り返ってみるとこのくらいの年はいくらでもあるので、特別悪い業績の年だとは感じませんね。

財務はBPS、剰余金共に増加傾向となっております。
自己資本比率は一時30%台に乗っていたのですが、少し下がってきている状態です。
この点はやや懸念と言えそうです。
人によっては投資対象にしたくないと思う水準かもしれません。

適正株価を見てみると、
過去20年の平均EPSは29円、適正株価は531円です。
過去10年で見たときの平均EPSは32円、適正株価は582円。
過去5年で見たときの平均EPSは61円、適正株価は1090円となります。
どの期間で切り取っても割安ではありますね。400円台前半ならいつでも買いたい感じかなーと思います。

剰余金だけで直近配当を何年支払えるかの計算になります。
こちらはENEOSが22年となっており、業界2位のコスモから大きく溝をあけられている状態です。
ただし、15年以上の余裕がありますから特別問題のある数字だとは考えておりません。
——
はい、ということで本日は三菱HCキャピタルとENEOSについて決算内容を確認してきました。
三菱HCキャピタルは順調すぎて特にいうことがない決算だったと思います。
そういう意味ではENEOSの方が買い場到来という感じで、逆にわくわくした感じでしたね。みなさんは今日の決算どのように思いましたか?良ければ感想などコメントいただけると嬉しいです。
ということで、本日の情報がみなさんの投資に役立てば幸いです。
本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!