
こんにちは。ななうみ(@nana_u_mi)です。
今日は先日発表された住友林業の決算を解説していきます。
本当は決算当日に動画公開したかったのですが、通院やら仕事やらで時間が取れずに更新が遅くなってしまいました。
今日の決算は2022年12月期の本決算となりましたが、2022年は過去最高の業績ということで懸念なしの決算でした。今期は2022年ほど業績は振るわないものの、こちらも大きな懸念はないと言えそうです。
どうしてそう思うのか?は動画内で解説しますのでぜひ最後までご覧ください。
Youtubeにも動画を載せているので、動画で見たい人はこちらからご覧ください(チャンネル登録してくれたら嬉しい!)。
住友林業

それではさっそく決算内容を確認していきましょう。
今回は本決算になります。
2022年12月期の連結経常利益は前年同期比41.6%増ということで、業績は絶好調となっております。
合わせて2023年12月期の経常利益の見込みも公表されましたが、こちらは38.5%の減益となる見通しです。結構大きな減益ですね。
これだけ聞くと、今は良くても今年はダメなんでしょ?懸念じゃんと思うかもしれませんが、個人的には大丈夫であると判断しております。
決算の中身を見ていきましょう。

2022年の経営総括としては、米国を中心に海外住宅・不動産事業が貢献した形となります。
円安の影響もあって経常利益、当期純利益が過去最高となりました。
売上20%プラス、粗利22%プラス、販管費14%プラスということで、売上よりも粗利が増えたことで利益率改善してますし、売上、粗利のプラス幅よりも販管費の増加は抑えられていることからも利益率が上昇していることがわかります。
為替換算レートは前期より22円ほど円安となっていますね。
期中平均は現在の為替相場より若干円高といった感じですね。

セグメントごとの売上と利益はこのようになっております。
売上高についてはおおむね堅調といったところです。
一方利益を見てみると、木材建材と海外住宅・不動産が大幅に増益したものの、それ以外のセグメントは大幅に減益する形となっております。
ただし、セグメントの利益割合でいうと圧倒的に海外住宅・不動産がおおきいので全体としては増益で着地している状態ですね。

昨年からの経常利益の増減実績はこちらのようになっております。
こうしてみると海外住宅・不動産セグメントの増益と円安効果が大きく、それ以外のセグメントではプラスマイナスゼロであるということがわかります。

ということで、国内住宅事業の受注・販売状況を確認してみます。
注文住宅ではコロナ禍の戸建て住宅需要が一巡したことや、住宅ローン減税の見直しなどの影響で、棟数・金額ともに前期を下回ったと記載されております。
販売では単価上昇や工事数の増加によって受注金額は前期を上回ったものの、資材高の影響によって減益となりました。
ということで、減益になった要因が自社内が起点になっているものではなく、環境や外部要因が主であるということですので、大きな問題はなさそうです。

では、戸建て新築が減っていく中で力を入れているリフォーム事業はどうかというと、受注高も前期を超えており、経常利益率も高くなったということで順調であると言えそうです。
金額の規模感としては注文住宅や販売と比べると大きくはありませんが、成長しているのは何よりですね。
海外事業については好調であるということなので、現時点では触れません。
2023年の方では逆に海外に目を向けてみたいと思います。

ということで、2023年の業績予想になります。
利益の大部分を占めている米国での住宅市況が悪化しているということで、完全な回復には時間が必要であり前年比で減収減益を予想しております。
現在の米国では政策金利が上昇し、住宅ローン金利も上がっているので単純に住宅を買いづらい状況であるのに加えて、資材価格の高騰などもあって住宅価格自体も高騰しているので、なかなか厳しい状態だと言えそうです。
ただし、こうした悪化要因がある中でも売上高は4%のマイナスにとどまっておりますし、利益こそ大きく減るものの、赤字になる見込みというわけでもありませんからひとまず安心して良いでしょう。
来期の減益も言ってみれば住友林業の内部問題ではなく、市況の問題ですので長期的には住友林業への投資に水を差すようなものではないと考えます。
この状況下で気にするところをあげるとするならば、こうした外部環境の影響がやわらぐまで体力があるのか?という観点ですが利益が残る以上心配はないと言えます。

セグメント事の売上高と経常利益予想になります。
売上高としてはどのセグメントも微増微減といったところですね。
売り上げ規模の小さい資源環境やその他事業は大幅に売上高が伸びる想定です。
経常利益の方はというと、昨年調子のよかった木材建材がほぼプラマイゼロ。海外住宅・建築・不動産は47%と大幅なマイナスになります。
逆に、住宅や資源環境セグメントは大幅なプラスとなりますね。

ということで、2023年に業績が悪化見込みである海外事業について見ていきましょう。
米国の住宅と不動産が大幅に経常利益マイナスとなる見通しですが、オーストラリアについては大幅にプラスになります。
とはいえ、規模感としては米国が圧倒的で、全体としては海外セグメントマイナス47%となります。
ただ、いずれにしても市況環境の影響が強く、住友林業そのものに問題があるわけではないという点は押さえておきましょう。
市況環境問題であれば競合はすべて同じ条件下でありますし、体力さえ続けば投資先としては問題ありません。

戸建て住宅事業の状況はこのようになっていて、米国は戸数、販売金額、販売単価ともに下落する見通しです。
オーストラリアは堅調、建築事業も堅調ですね。
米国では効果的なインセンティブを提供することで契約を確保し、過剰在庫とならないように販売戸数を稼ぐ方針のようですね。
米国では木造住宅が主流で、その住宅も足りてないということで毎年一定の需要があるんですよね。
そのため、市況が悪くて売れないということはあったとしても、嵐が過ぎれば再び旺盛な需要になります。
その時に「最近住友林業聞かないよねぇ」なんてことにならないように、事業展開していく感じですね。

ということで、動画撮影時点の株価は2492円。
PERは6.5倍と割安。PBRは0.79倍と割安です。
配当利回りは5.02%ということで、高配当な状態となっております。
2023年の減益理由と、その後の住友林業の業績予想に納得がいくなら全然買いに行っていい銘柄だと感じております。

業績の推移はこのようになっていて、先ほどまでに説明した通りですね。
今期はEPS下がるものの、配当は前期から据え置きで125円となる見通しになります。
過去を振り返っても、順調に売上高が上がってきていますし、最終益も増加傾向ですから、実力は申し分なく、十分に魅力的な会社だと思います。

収益性はこんな感じで、売上営業利益率は6.35%となります。
一般的に優良とされる利益水準には届きませんが、近年は過去よりも利益率が上がってきていますし、今期は6%に下がるとはいえ、2020年以前よりははるかにいい数字感です。
ROEは12%、ROAは5%とこちらは目安となる水準を超えていて問題ございません。

財務は、BPS、自己資本比率、剰余金が増加傾向となっております。
自己資本比率は過去だらだらと低下してきている時期がございましたが、近年は再び上昇してきております。
市況環境の影響を強く受ける事業ではありますから、自己資本比率が40%を超えてくれたのはひとまず安心ラインということで良かったと思います。

適正株価を確認してみます。
過去20年の平均EPSは117円、適正株価は2105円となります。
過去10年間で見てみると平均EPSは198円となり、適正株価は3539円。
過去5年間で見てみると平均EPSは281円となり、適正株価は5028円となります。
売上が長期的に伸びてきていることを考えると過去20年の水準で見てもいいと思うのですが、自己資本が伸びている点を考慮すると直近10年の水準で評価する方が現在の住友林業を表すのに適しているような気がします。
そう考えると、過去10年、過去5年の水準よりは株価割安ですから、買っていいと判断できます。

剰余金だけで直近配当を何年支払えるかの計算になります。
住友林業は17年間、配当金を支払うことが可能なようです。
他の建築業では、ダイワハウス、積水ハウスと同等くらいの余裕感ですね。大林組と比較すると年数は低い状態です。
とはいえ、15年以上の余裕がありますから問題のある水準ではないと考えております。
——
はい、ということで本日は住友林業の決算内容を確認してきました。
こちらの銘柄は昨年企業紹介させていただいた銘柄ですが、今回の決算を受けて今期の見通しは悪かったものの、それでも配当を維持できる事や業績悪化要因が会社の外にあり、経営そのものには問題がないことを確認できたので、引き続き買い向かっていきたい銘柄だと感じました。
ということで、本日の情報がみなさんの投資に役立てば幸いです。
本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!