
こんにちは。ななうみ(@nana_u_mi)です。
今日は先日決算発表のあった、三菱商事と三井物産について解説していきます。
三菱商事も三井物産も、どちらも業績は好調で増配発表も行ってくれました。近年は安定的に事業成長している印象ですね。

Youtubeにも動画を載せているので、動画で見たい人はこちらからご覧ください(チャンネル登録してくれたら嬉しい!)。
三菱商事

まずは、三菱商事から見ていきましょう。今回は第3四半期の決算です。
累計の連結最終利益は前年同期比48.2%増ということで、絶好調となっています。
これに伴い、通期の業績目標を1200億ひきあげる上方修正を発表いたしました。
また配当も従来計画の155円から180円と25円の大幅増配を発表しております。
さすが三菱、王者は違いますね。

決算のポイントとしては、
- 第3四半期の時点で通期の過去最高益を達成
- 通期見通しを1200億円上方修正
- 価格要因を除いた利益は11月公表の数値から800億上振れ
- 配当は累進配当のもと、180円に増配
- さらに1000億円を上限にした追加の自社株買いを発表
ということで、かなり好調であることが窺えます。
特に、第3四半期の時点で過去最高益を達成は意味わからないくらいすごいですね。
大幅増配も今期だけではなくて累進配当のもとなので、来期以降も基本的に維持されるので相当な大盤振る舞いだと思います。

ここで出てきた価格要因を除いた利益とはなにか?というのがこの図に書いてあるのですが、それが資源価格と為替を除いた利益ですよということですね。
資源価格が大幅に上がらなかったとしても、円安にならなかったとしてもベースの稼ぐ力が800億円アップしたという意味でとらえてよろしいかと思います。

セグメント別の状況を確認してみると、基本的にほとんどのセクターでプラス推移しております。
業績が下がったのは食品産業やコンシューマー産業、電力ソリューションですが、理由を見てみる限り事業が危機的な状態になっているとかそういう足元を揺るがすような状態ではないと考えます。
ビジネス全般の中では現時点で規模も小さいですし、今の時点では大勢に影響なしと見てよいでしょう。
特徴としては自動車モビリティや複合都市開発の伸長が目立ちます。
他の総合商社ではセグメントとして切り出されていないだけかもしれませんが、このセグメントを抱えている点は三菱商事の注目ポイントだと感じます。
金属資源や天然ガスといった資源領域も他商社同様に大幅に増益していますね。

市況の状況としては今回発表された通期の業績見通しにおける、為替の想定が134円ということです。
前回発表よりも円高で計算しても上方修正できたということになりますから、本業そのものは本当に好調だと受け取ってよさそうです。

株主還元方針はこのようになっていて、今期は追加で25円の増配を発表したので前期比では30円の増配となります。
累進配当政策を取っているので、配当金は来期以降も180円は担保されるというのが嬉しいですね。
また追加で1000億円分の自社株買いも行うと発表してすでに公表済みの自社株買い額と合わせると、年間1700億円分の自社株買いということになります。
これにより、今期の総還元性向は38%となります。
これだけやってまだ余裕があるというのが恐ろしいですね。

1000億円の自社株買いってどのくらいのインパクトかというと、発行済み株式総数のおよそ2.3%程度となります。
発表済みの自社株買い金額と合わせると、発行済み株式総数のおよそ4%弱を購入するということで結構インパクトがある印象です。

ということで、動画撮影時点の株価は4298円。
PERは5.4倍と割安。PBRは0.78倍と割安です。
配当利回りは4.19%ということで、大幅増配のおかげでかなり利回りが良くなりました。
今から指値を入れておきたいくらいの優良株です。

業績の推移はこのようになっていて、売上高も着々と回復してきており、過去最高に近づいてきております。
最終益も波はあれど安定性もそれなりにあり、長期的には利益額が膨らんでいる点も魅力があると思います。

収益性はこんな感じで、売上営業利益率は公表されておりませんが、ROEは14%、ROA5%ということで伊藤忠や丸紅と比べるとやや見劣りするものの、十分に高い数値となっております。

財務は、BPS、自己資本比率、剰余金が増加傾向となっており問題ありません。
自己資本比率が一時減少に転じていたのですが、今期は35%と高い数値に返り咲いているので危険視する必要はなさそうです。
事業も多岐にわたっているのでその分リスクヘッジができていますから、倒産リスクが高いという判断はしなくてよいでしょう。

適正株価を確認してみます。
過去20年の平均EPSは286円、適正株価は5122円となります。
過去10年間で見てみると平均EPSは339円となり、適正株価は6056円。
過去5年間で見てみると平均EPSは459円となり、適正株価は8204円となります。
どの期間で切り取っても、現在値は相応に割安であると判断できそうです。

現在の剰余金で直近配当をあと何年支払えるか?を計算してみました。
三菱商事は26年間、配当金を支払うことが可能なようです。
十分な期間分の蓄えがあるように思います。
他の総合商社も計算してみましたが、トップの三井物産とほぼ同等の期間分剰余金が用意されており、長期にわたって配当金を得られる企業だと感じます。
三井物産

続いて三井物産を確認してみましょう。こちらも第3四半期の決算ですね。
累計最終利益は前年同期比32.8%増ということでこちらも絶好調な模様です。
通期予想も約10.2%上方修正したということで、こちらも順調に事業が成長しております。
業績好調に伴い、今期の年間配当金を計画からさらに5円増配し、135円としました。前期は105円でしたので前期比で言えば30円の大幅増配となります。

経営成績のサマリーになります。
- 当期利益、基礎営業キャッシュフローが第3四半期実績としては過去最高を更新
- 通期業績を上方修正し、期末配当は5円増配
- 実施中の自社株買いを1000億円分追加し、期間を延長
となっています。
下の方にしれっと書いてありますが、株主還元は来期140円を下限とするということで来期も5円の増配は決定事項となっております。
そして全取得株数に1000万株を加えた株数を今年の3月と8月に消却するということで、株価の上昇待ったなしという感じです。

消却する株式は全体の何%なのかというと、最大で全体の5.7%ですということで結構株価高まるんじゃないか?という印象でございます。

セグメント別の状況としてはこのようになっております。
金属資源は前期比マイナス、エネルギーは大幅プラス、機械インフラはプラス、化学品は小幅プラス、鉄鋼製品、生活産業は小幅マイナス、次世代・機能推進はプラスということで鉄鉱石などの価格が落ち着いてきた影響で金属資源はやや減速しましたが、エネルギーセクターの増益率がやばいことになっていますね。
の総合商社では金属セグメント調子よさそうだったのでこの点はちょっと意外ですね。
金属と言っても物質によって市況は違いますので当然と言えば当然ではありますが。
ちなみに、エネルギーセクターを除いても業績はプラスなので、事業全体の調子は悪くなさそうです。

2023年通期の業績予想に当たって、前提となる条件はこの通りになっています。あれこれありますが、やはり一番気になるのは為替です。
通期の予想では135円想定で計算となっているようなので他の商社と同様の水準で計算していますし特に問題はないですね。
今回の発表では11月発表時点の想定より円高で計算していますが、それでも業績の上方修正を行えたというのは心強いところです。

ということで三井物産の動画撮影時点の株価3854円です。
PERは5.5倍で割安。PBRは0.97倍で割安となります。
配当利回り3.5%で、税引き後配当利回りは3%に届きませんが、市場平均よりは高配当といった状態です。

業績推移はこのようになっております。
売上高は過去の方が数値が良かったりするんですが、利益面では近年の方が安定している形になります。
最終益、EPSともに今期は昨年に引き続き過去最高を更新する予定です。

収益性はこのようになっていて、営業利益率は公表されておりませんが、ROEは17%、ROAは7%とかなり高めに出ております。
この点は三菱商事よりも数値が良いですね。

財務はBPS、自己資本比率、剰余金共に増加傾向となっており問題ございません。
自己資本比率も波があるわけではなく、順調に増加していることや、今まで見てきた総合商社の中では最も高く、ほぼ40%と言える水準に来ているのは評価できるでしょう。
もちろん総合商社ですから、事業そのものがリスク分散の側面を持っているので倒産リスクという意味では十分低いと言えるでしょう。

適正株価を見てみると、
過去20年の平均EPSは217円、適正株価は3876円です。
過去10年で見たときの平均EPSは278円、適正株価は4972円。
過去5年で見たときの平均EPSは393円、適正株価は7033円となります。
業績を見てみると、売上、最終益が結構期間ごとに差があって何年で見るのが最も良いか判断難しいのですが、仮に20年で見たとしても現在値は妥当な水準と言えますから、長期的には割安と判断できそうです。

剰余金だけで直近配当を何年支払えるかの計算になります。
こちらは三井物産が26年。総合商社の中では最も剰余金の余裕がありそうです。
——
ということで本日は今日決算発表のあった三菱商事と三井物産について決算内容を確認してきました。


ということで、本日の情報がみなさんの投資に役立てば幸いです。
本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!