【日本株決算】三井倉庫は好調で増配、住友倉庫は数字は良いけど注意かな…【高配当】

こんにちは。ななうみ(@nana_u_mi)です。

今日は本日決算発表のあった、三井倉庫と住友倉庫について解説していきます。
今日の決算では両者とも数字は良かったんですが、結構明暗がわかれた決算だったように思います。

先輩博士
三井倉庫は好調で増配も発表したが、住友倉庫は上方修正こそしたものの、来期以降の数字が怪しい雲行きになっていると感じたぞ。

この辺りを理由も含めて話をしていきたいと思いますので、ぜひ最後までご覧ください。

Youtubeにも動画を載せているので、動画で見たい人はこちらからご覧ください(チャンネル登録してくれたら嬉しい!)。

三井倉庫

まずは、三井倉庫から見ていきましょう。今回は第3四半期の決算です。

累計の連結経常利益は前年同期比21.3%増ということで、業績は好調となっています。通期目標も6%上方修正しております。

業績の好調に伴って、今期の年間配当を前回予想から6円増配することも発表しました。
これによって、前期比で56円高い配当となります。

業績修正の理由としては、

  • 海上輸送から航空輸送へのシフトや、航空・海上運賃の高止まりが前回予想時よりも収束が緩やかであること
  • 顧客ニーズに対して機動的なスペース確保と仕入れコストのコントロールによって、特殊要因による取扱量と利益が想定以上に増加したこと

があげられています。

また、燃料費・電気料金・人件費の上昇の影響はあるとしつつも、為替円安影響や収受料金の適正化、物流ソリューション営業を通じた取扱量、受託範囲の拡大によって特殊要因を除く実力値でも前回を上回る形となったということです。

その内訳がこの資料ということになるのですが、11月に公表された実力値は212億円、為替影響でプラス1億円、その他自由でプラス2億円で今回予想は215億円となっています。

特殊要因は11月公表で33億円、今回予想では12億円プラスして45億円となります。
特殊要因というのは海上輸送から航空輸送へのシフト、航空・海上運賃の高止まりの2つを指しているようです。

一番下の前年の通期実績の数値を見てみても実力値が45億増加しています。

楽観視するわけではありませんが、単純に同じ利益成長ができると考えれば、来期は仮に特殊要因が0になったとしても今期と同程度の業績が期待できるということですから、この点は安心感があります。

期末配当は前回発表時から6円増配しておりまして、187円となる見込みです。

増配理由としては連結配当性向30%を目安にしているということで、上方修正したんだから配当も上がるよね。という理由となっています。

このことから、完全に業績連動しているということで利益の少ない年は平気で減配するというのは頭に入れておく必要があるでしょう。

ということで、動画撮影時点の株価は3750円。
PERは6倍と割安。PBRは1.04倍と割安です。
配当利回りは4.99%ということで、高配当な状態となっております。

業績の推移はこのようになっていて、売上高、最終益共に着々と成長してきております。
ここ2年程の配当金の上昇率がえぐいことになってますね。

収益性はこちらのようになっております。

売上営業利益率は8.5%と同業他社と同程度の水準、ROEは17%、ROAは6%ということで高い数値となっております。

特にROEは2018年以降10%以上をキープしているのでこの点はポイント高いと思います。

財務は、BPS、自己資本比率、剰余金が増加傾向となっております。

自己資本比率は20年くらい前の方が高いのですが、そこからかなり下がってきていて現在は回復フェーズにあります。

40%に届いていない点は評価がわかれるところですが、現時点で本業が順調であることや、自己資本比率の回復量がそれなりにあることから投資不適格と判断しなくてもいいと個人的には感じております。

適正株価を確認してみます。
過去20年の平均EPSは128円、適正株価は2292円となります。
過去10年間で見てみると平均EPSは160円となり、適正株価は2868円。
過去5年間で見てみると平均EPSは426円となり、適正株価は7615円となります。

期間を長く取ったときの適正株価は超えている状態です。過去の業績や財務データの推移からみると、2018年以降に業績が回復基調に乗っているように思うので今の経営を念頭に投資をするのであればまだ割安といった形になります。

剰余金だけで直近配当を何年支払えるかの計算になります。
三井倉庫は19年間、配当金を支払うことが可能なようです。

住友倉庫と比べると2年程期間は長いですが、三菱倉庫や澁澤倉庫と比べると見劣りする数値となります。
とはいえ、19年分の蓄えがあることから安定した配当金は期待できる銘柄だと思います。

安定しているとはいえ、連結配当性向30%を目安にしているので配当金のブレが年度によって大きい点は忘れてはなりません。

住友倉庫

続いて住友倉庫を確認してみましょう。こちらも第3四半期の決算ですね。

連結経常利益は前年同期比21.2%増ということで順調な業績と言えそうです。

通期計画の目標も1.7%上方修正しております。
とはいえ、修正幅が少ないですしあんまりインパクトがある数字ではないですね。

現状の定性的情報についてですが、現在は物流事業と不動産事業の収益強化を目指しているようですね。

物流事業では

  • 神戸市ポートアイランドの倉庫にて定温庫を設けるなど高機能化を図ったり
  • 静岡県に新倉庫の建設
  • タイの現地法人が新倉庫の建設に着手
  • アメリカのテキサス州で新たな拠点を解説

不動産事業では

  • 大阪府池田市に賃貸用不動産物件を取得

といった形で、現在は収益力強化に向けて投資するフェーズにあることが窺えます。

また、前述した通り物流事業と不動産事業に集中するために、海運事業を営む子会社のWestwood Shipping Lineの全株式、他子会社含む船舶などを譲渡しているようです。

これらのことから、セグメント別の収益はこのようになっております。

  • 物流事業は前期比14%増
  • 海運事業は前期比30%減
  • 不動産事業は0.1%増

となっております。
海運事業については前述した通り海運から手を引いているので営業期間が短いことによる影響ですね。

ということで住友倉庫の動画撮影時点の株価2007円です。
PERは6.8倍で割安。PBRは0.75倍で割安となります。
配当利回り4.98%で高配当な状態です。

業績推移はこのようになっております。
売上高から経常益まで微減する形となりますが、最終益は20%近く上昇しております。

この要因は何かというと、特別利益に乗っかっている関係会社株式売却益をはじめとする81億になります。

つまり、来期はこの最終益から81億がけずれた数字、150億程度になる可能性があるという点は意識しておかなければなりません。

さらに言えば、今期あった海運セグメントの収益も大きく剥落するはずなので、その分も意識しなければならないと思います。

もちろん、来期に一気に本業が加速して業績が堅調に推移する可能性はあるかもしれませんが、個人的には2021年程まで業績後退するわけではないが少なくとも2022年よりは下と見ております。

収益性はこのようになっていて、営業利益率は11%と高い数字になっております。

ROEは11%、ROAは6%とこちらも十分な数値です。
ただ、直近2年間以外の年を見てみると数字は半分程度に落ち込みますから、昨年と今年の数字は本来の実力ではないと捉えるのが妥当かもしれません。

財務はBPS、自己資本比率、剰余金共に増加傾向となっており問題ございません。
自己資本比率も目安となる40%を超えていますし、この点は三井倉庫よりも優秀だと思います。

適正株価を見てみると、
過去20年の平均EPSは91円、適正株価は1640円です。
過去10年で見たときの平均EPSは129円、適正株価は2305円。
過去5年で見たときの平均EPSは165円、適正株価は2961円となります。

直近5年、10年の数値で見れば割安ですが直近2年が市況環境によるもので実力外の数値だったかもしれないと考えると、割安感を鵜呑みにはできない状態ですね。

剰余金だけで直近配当を何年支払えるかの計算になります。

こちらは住友倉庫が16年となっております。
この4社の中では最も蓄えのない企業と言えそうです。
ただ、三井倉庫も18年ですし、そこまで極端に問題のある数値ではないように感じております。

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ということで本日は三井倉庫と住友倉庫について決算内容を確認してきました。

どちらの銘柄も数字は好調でしたね。

先輩博士
中身を見てみると三井倉庫は実力値が上がっていて順調であるものの、住友倉庫は特別利益での業績のかさましがあり、来期以降は業績が下がる可能性があるように感じたぞ。
研修生
投資をする際には表面上の数値ではなく、その中身を理解して意思決定したいですね!

ということで、本日の情報がみなさんの投資に役立てば幸いです。

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

ABOUTこの記事をかいた人

フリーランスのUIデザイナー。情報設計と構造整理が得意。制作会社の執行役員を経て独立。 現在は技術書執筆やYoutubeで活動中。デザイン、Youtube、株式投資、社会制度の話題が多めです。 拙著「誰でもつくれる!UIデザイン入門」発売中