【日本株決算】住友商事、東京精密決算発表!期待されすぎた総合商社【高配当】

こんにちは。ななうみ(@nana_u_mi)です。

今日は昨日決算発表のあった、住友商事と東京精密について解説していきます。

今日の決算で総合商社がひとまず出そろった形になりますが、今までの総合商社がよかっただけに、今回の住友商事の発表は業績そのものは好調でしたが、やや物足りない内容だったように思います。

先輩博士
東京精密の方は業績引き続き高止まりだが、半導体セグメントの受注高が減少してきているぞ。

Youtubeにも動画を載せているので、動画で見たい人はこちらからご覧ください(チャンネル登録してくれたら嬉しい!)。

住友商事

まずは、住友商事から見ていきましょう。今回は第3四半期の決算です。

累計の連結最終利益は前年同期比38.5%増ということで、業績は絶好調となっています。

通期目標に対する進捗率は例年に比べると4%ほど低い進捗率ということですが、第3四半期終了時点で75%を超えていますし特段気にするようなことではないと思います。

決算のポイントとしては、

  • 第3四半期累積実績としては過去最高を達成
  • 11月に発表した業績見通しに対してはおおむね予定通り進捗
  • 新たな増配は発表なしだが、500億円分の自社株買いを発表

ということで、業績そのものは非常に好調ではあるものの、三菱商事や丸紅のようなインパクトのある発表は行われませんでした。

業績のハイライトはこのようになっておりまして、資源セグメント、非資源セグメント共に約600億円ほど増益となっております。

昨年と比べると、為替が25円円安に振れたと書いてありますので、この点は後で確認してみようと思います。

セグメント別の状況を確認してみると、金属、輸送機・建機、生活・不動産、資源・化学品の4セグメントで増益。インフラ、メディア・デジタルのセグメントでは減益となっております。

インフラセグメントにおいては電力調達価格の上昇があげられておりますが、一過性の利益があっても減益ということなのでしばらく苦戦することが予想されます。

メディア・デジタルにおいては国内事業は堅調である者の、ミャンマーの現地通貨安、光熱費増加などがマイナス要因としてあげられております。
ミャンマーにおいて事業展開している企業は同じ環境下ですから、極端に悪影響というわけではないと思いますが、気になるところです。

エチオピアの通信事業立ち上げの初期コストがかかっているという背景もあるので、この減益幅のいくつかは将来への投資なので許容できるだろうといった感じです。

キャッシュフローについては、基礎収益キャッシュフローが昨対比でプラスとなっていて問題なしですが、運転資金の増加や国内外の不動産取得などによって支出がかさんでおり、フリーキャッシュフローはマイナスとなっております。

株主還元方針はこのようになっていて、今期は第2四半期に発表した配当予想から変更なしとなっております。
配当額としては115円で昨年から5円増配した形となります。

ただし、今回の決算で500億円分の自社株買いが新たに発表されておりまして追加還元はあってよかったねといった状態です。

500億円の自社株買いってどのくらいのインパクトかというと、発行済み株式総数のおよそ2.6%程度となります。

インパクトはそれほど大きくはありませんが、取得した株はすべて消却しますということなのでこの点は非常にいいと思います。

自社株買いしただけでは発行済み株式総数は減りませんが、消却するとその分はこの世から消えるので本当の意味で1株当たりの価値が上がるって感じですね。

ただ、これをもってしても他の総合商社と比較するとやや印象は薄い感じがありますね。

今期の業績の前提条件はこのようにいろいろと記載ございますが、やはり一番気になるのは為替です。

11月に発表された今期の通期為替見通しは1ドル139円となっております。

他の総合商社と比べるとやや円高な見通しですが、第3四半期累計の数値が136円だったよと記載されておりますので、足元やや円安に振れ始めたことを考えると見通し的には悪くないのかもしれません。

ちなみに為替が1円動くと12億円ほどのインパクトがあるということになっていますから、昨年から25円円安に振れたことを加味すると今期は為替の影響で300億ほど業績が上振れたと見ることができます。

今期は資源、非資源合わせて1160億のプラスでしたから、為替影響は大きいとはいえ影響度合いは25%程度となっております。

これを安心材料と捉えるかどうかは投資家それぞれで判断わかれるところだと思いますが、僕自身はポジティブに受け止めております。

ということで、動画撮影時点の株価は2298.5円。
PERは5.2倍と割安。PBRは0.78倍と割安です。
配当利回りは5%ということで、引き続き高配当な銘柄となっております。

そもそもの配当利回りが高いので、増配がなくてしょっぱいとは思いますが、投資対象としてはいまだ魅力のある銘柄だと感じております。

業績の推移はこのようになっていて、15年近く前と売上高を比べると半分くらいになってしまっていますが、直近5年間は徐々に回復に向かってきているところです。

最終益ベースでみると、波はあるもののこちらは売上高の高かった過去と比べても今の方が魅力のある数値となります。

ちなみに業績の修正履歴を見てみると、本決算で増配を発表したのは過去5年で1度だけですからあまり期待せずに待つのがよさそうです。

収益性はこんな感じで、売上営業利益率は公表されておりませんが、ROEは15%、ROA5%ということで伊藤忠や丸紅と比べるとやや見劣りするものの、十分に高い数値となっております。

財務は、BPS、自己資本比率、剰余金が増加傾向となっており問題ありません。

自己資本比率が目安となる40%に届いておりませんが、他の総合商社もおおむね30%台ですので問題にはならないでしょう。

事業も多岐にわたっているのでその分リスクヘッジができていますから、倒産リスクが高いという判断はしなくてよいと考えます。

適正株価を確認してみます。
過去20年の平均EPSは154円、適正株価は2762円となります。
過去10年間で見てみると平均EPSは164円となり、適正株価は2934円。
過去5年間で見てみると平均EPSは216円となり、適正株価は3859円となります。

どの期間で切り取っても、現在値は相応に割安であると判断できそうです。

剰余金だけで直近配当を何年支払えるかの計算になります。
住友商事は18年間、配当金を支払うことが可能なようです。

他の総合商社と比べるとやや見劣りする数値ではありますが、18年分の蓄えがあることから安定した配当金は期待できる銘柄だと思います。

東京精密

続いて東京精密を確認してみましょう。こちらも第3四半期の決算ですね。

連結経常利益は前年同期比21.4%増ということで順調な業績と言えそうです。

通期計画に対する進捗率も、例年より高い76%となっており、この点も安心感がありますね。

経営成績のサマリーになります。

  • 受注高は想定通り減少しているものの、売上高・累計利益はピークを更新
  • 第3四半期に訴訟損失引当金として特別損失を計上

となっています。

受注高が下がったのは想定通りとはいえ、やや不安が残ると思うのでセグメント別の情報も確認してみましょう。

こちらは半導体セグメントの四半期ごとの業績推移になります。

売上高は安定して右肩上がりをしています。
受注高は今年に入ってから減少してきております。

しかし、受注残高は高止まりしている状態でこれをこなしていく間にまた受注できれば良いという話なので、現時点で大きな問題にはならないでしょう。

受注高の減少も想定していたということですから、状況はコントロールできていると言えそうです。

こちらは計測セグメントの四半期ごとの業績推移になります。

売上高は安定して右肩上がりで、受注高も安定しております。

そのおかげで受注残高も右肩上がりとなっておりまして、こちらは現時点では懸念すらない状態ですね。

業績予想の前提としましては、全体として

  • 高水準の生産が続いているが
  • 部材不足は一部で緩和がありつつも影響は続いている

状態となっております。

米中の規制動向を注視ということで、足元の不安定要素はここかなと思います。
最近も気球撃ち落としとかやっていたので、どうなることやらですね。

各セグメントはコントロール下で適切に対応されているように見えます。

数字的な業績予想としては、売上高1450億ということで、前期比でプラス11%の成長となる見通しです。

以前から公表されていた業績予想・配当予想から変更なしということで順調に推移していると見ることができそうです。

また、配当予想は変更ありませんでしたが自社株買いやりますということで、その内容確認してみましょう。

こちらが自社株買いの内容ですが、上限70万株。金額上限25億円ということで、発行済み株式総数のおよそ1.7%を取得する模様です。
買った自社株を消却するかは特に触れられておりません。

ということで東京精密の動画撮影時点の株価4485円です。
PERは8.3倍で割安。PBRは1.32倍で妥当な水準となります。
配当利回り4.86%で高配当な状態です。

業績推移はこのようになっております。
売上高にしろ最終益にしろ、年によって波があるのがわかりますね。

ただ、ならしてみてみると、徐々に業績は拡大傾向にあります。
極小の機器を作る際に、どれだけブレを押さえられるか、どれだけ正確に計測できるかは非常に重要ですからね。将来的にも期待できる銘柄だと思います。

収益性はこのようになっていて、営業利益率は20%と非常に高くなっております。

ROEは16%、ROAは10%とこちらもかなり高めに出ております。

長期にわたってみても、利益率は徐々に上昇してきているように思いますのでこの点からも将来が楽しみです。

財務はBPS、自己資本比率、剰余金共に増加傾向となっており問題ございません。

自己資本比率も目安となる40%を大きく超えていますし、有利子負債倍率もほぼ0ですから、財務は盤石だと言えるでしょう。

適正株価を見てみると、
過去20年の平均EPSは174円、適正株価は3111円です。
過去10年で見たときの平均EPSは297円、適正株価は5312円。
過去5年で見たときの平均EPSは369円、適正株価は6601円となります。
直近10年の業績推移を評価して投資をする分には、まだ割安な水準だと言えそうです。

剰余金だけで直近配当を何年支払えるかの計算になります。
こちらは東京精密が14年となっております。

計器を扱っている長野計器、東京計器と比べても大きく見劣りする数値となっていますが、半導体関連銘柄である東京エレクトロンやディスコなどと比べると数値上はまだ余裕があるように思います。

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本日は今日決算発表のあった住友商事と東京精密について決算内容を確認してきました。

どちらの銘柄も業績そのものは好調でしたね。

先輩博士
住友商事は他の総合商社と比べると株主還元がやや物足りない…という印象だったが、単体の決算内容としては十分な結果だったと思うぞ。
研修生
東京精密もいい内容だったと思いますが受注残が今後どのくらいのスパンで消化されていくのかが気になりますね!

ということで、本日の情報がみなさんの投資に役立てば幸いです。

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

ABOUTこの記事をかいた人

フリーランスのUIデザイナー。情報設計と構造整理が得意。制作会社の執行役員を経て独立。 現在は技術書執筆やYoutubeで活動中。デザイン、Youtube、株式投資、社会制度の話題が多めです。 拙著「誰でもつくれる!UIデザイン入門」発売中