
こんにちは。ななうみ(@nana_u_mi)です。
今日は先日決算発表のあった、三菱UFJと双日について解説していきます。
どちらも高配当株として人気の銘柄なので注目している人も多いんじゃないかなと思います。
特に双日は今日の総合商社決算ラッシュに先駆けての決算発表なので、良かったら最後までご覧ください。

Youtubeにも動画を載せているので、動画で見たい人はこちらからご覧ください(チャンネル登録してくれたら嬉しい!)。
三菱UFJFG

まずは、注目度合いの高いであろう三菱UFJからやっていきます。
今回は第3四半期の決算でしたね。
累計の連結経常利益は前年同期比39.1%減ということで、数字的には苦戦をしているように感じます。
ただ、これはちょっとギミックがあって見かけ上苦戦しているように見えているだけなので、そんなに気にしなくて大丈夫です。

決算のポイントとしては、
- 第3四半期の業務純益は1兆3815億円(前年比プラス4485億円)ということで好調で、通期目標の進捗率は92%
- MUB株式譲渡に伴う損失があり、前期比で大幅に減益しているように見えるが、第4四半期に8017億円が戻し入れされるので、親会社株主純利益目標に対する進捗は114%と超過
- 経済環境や金融市場などの不透明感が継続するので、今期の親会社株主純利益目標である1兆円は不変
があげられます。
つまり、第3四半期の時点では会計上損失が大きく出ているが、第4四半期に取り返すのでそれを加味すると本業も好調だし問題があるわけではないということですね。
ただし市場環境は不透明感があるので保守的な目標は変えないよって感じです。

損益サマリーを見てみると、
①業務粗利益においては
- 貸出利ザヤの改善、各国金利上昇局面による収益増加によって増収
- 資金利益の項目で5404億円を計上し、国債等債券関係損益で-5723億円計上
②営業費・経費率においては
- 経費率は低下
③与信関係費用総額においては
- MUB株式譲渡に伴う費用として4424億円を計上
④その他臨時損益においても
- MUB株式譲渡に伴う会計処理の損失として5176億円計上
⑤四半期純利益においては
上記の結果として、前期比で-7272億円減益となるが、第4四半期に戻し入れされる8017億円があることを考えると、第3四半期の実質的な純利益は1兆1449億円となり目標を超過、前期比でプラスである
といったことが読み取れます。

実質的には好調であることがわかったので、事業本部別の内訳をさらっと確認してみると、どのセグメントも基本的には増益しており好調となっています。
唯一、受託財産のセグメントは案件の積み上げは堅調であるとしつつも、昨年の成功報酬が剥落したことや軟調な市況の時価下落影響によって減益となっています。
ですが、左側のグラフを見ていただければわかる通り減益幅も大したことはありませんし、大勢に影響があったり重大な懸念をもたらすような内容ではないことが確認できます。

ということで、現時点の株価は935.6円となります。
PERは11.2倍と割安。PBRは0.68倍と割安です。
配当利回りは一時期よりだいぶ下がってしまいましたが、それでも市場平均以上の3.42%です。

業績の推移はこちらのようになっていて、売上高を見ていただくとわかりやすいのですが、堅実に業績を伸ばしてきているのが窺えるかと思います。
世界的な企業として活躍していますし、バブル崩壊、リーマンショックも乗り越えた金融企業として与信審査のレベルなども高く、商品がお金ということもあって金利以外では企業間の明確な差別化がしづらい業態の日本ナンバー1の会社ですから、引き続き市場での優位性を発揮していくと考えられます。

収益性はこんな感じで、売上営業利益率が非常に高いことが特徴のひとつです。
ROE、ROAは低く出ていますが、銀行業はどこもおおむねこんな感じですし、ROEは銀行業の中では健闘している方ですので、相対的には問題がないと判断しています。

財務を確認すると、BPS、剰余金は順調に増加していて問題ありません。
自己資本比率が低いですが、こちらも銀行業ですので問題のない数値となります。

三菱UFJの適正株価を確認してみます。
過去20年の平均EPSは53円、適正株価は956円となります。
過去10年間で見てみると平均EPSは70円となり、適正株価は1256円となります。
いずれにしても、現在値はこの値を下回っているので、個人的には利回りにさえ納得できれば買っていいんじゃないかと考えております。

現在の剰余金で直近配当をあと何年支払えるか?を計算してみました。
三菱UFJは33年間、配当金を支払うことが可能なようです。かなり長いですね。
他のメガバンクなども計算してみましたが、りそなの37年に続いて長期間配当可能な企業であることがわかりました。
安定的な配当の持続は期待できそうです。
双日

続いて双日を確認してみましょう。
双日も第3四半期の決算ですね。
累計最終利益は前年同期比75%増ということで絶好調な模様です。
通期計画に対する進捗率は98.8%ということで、のこりの3ヶ月で1年の1.2%稼げば目標達成ということですから、何事もなければオーバーシュートすると思います。
ただし、通期計画は据え置きとなり上方修正は発表されませんでした。
直近の3カ月間の利益は前年同期比で32.3%増ということで、足元業績も好調なようです。

第3四半期累計の業績比較になります。
直近3年間は倍々ゲームのように業績が拡大していますね。
非常に調子がいいので、この業績がいつまで続くのかというところが投資家目線では気になるところかと思います。

第3四半期決算のサマリーになります。
- 商品価格・石炭市況の上昇に加えて、非資源事業の安定的な伸長によって、前年同期比で大幅な増益。過去最高益を達成
- 基礎的営業CFは堅調に推移し、キャッシュをともなう利益を創出
- 一方で資産評価を見直すコストを織り込んで、通期の見通しは据え置き
となっています。
資産評価を見直すコストを除いて考えれば、上方修正してもいいくらい業績が好調ですよね。

こちらの資料を見てみても、収益24%増、売上総利益38%増、純利益75%増となっております。
要因としては
- 資源分野の好調
- 合成樹脂の取引量増加
- 水産加工会社の取得による増収
- 持分法による投資損益の増加
となっています。
持ち分法による投資損益は継続性が疑わしいですが、基本的には本業が順調だということで今後も安定した業績が期待できるように思います。
ちなみに第4四半期の想定為替レートは1ドル130円ということで、大きく外さない水準だろうと思います。

ちなみに、今日公表されたPLサマリーを確認してみると、今期の基礎的収益力が11月公表された数値よりも高まっていることを確認できると思います。
基礎的、というからには持続的な収益性を指していると思うのでこの点からも安心感があると思います。

セグメント事の比較をしてみると金属・資源・リサイクルのセグメントが大幅伸長しているのが目立ちますが、基本的に全セグメントが前年同期比でプラスとなっていて非常に好調です。

こちらの表を見ても、セグメント単位で上方修正を出している箇所が多く、事業全体として好調であることが窺えます。

株主還元の方針としては連結配当性向30%程度を基本として配当金を出す方針となっております。
23年3月期の配当金は前期比24円増配の130円。
来期は130円を下限として配当を実施するし自己株式も取得する予定となっております。
大盤振る舞いですね。

ちなみに持株会を通じた株式の処分というのも発表されていますが、こちらは特にプラス材料ではないのでご注意ください。

- 業績良かったから社員に奨励金を支給する
- その奨励金で持株会で株を買う
- 持株会は奨励金を会社に返す
- 会社は持株会に対して株式を処分する
ということで、実質的には自社株を社員に移動させるだけなので、発行済み株式総数が減るわけではありません。

そんな双日ですが現在価格2505円です。
12時30分に決算発表したんですが、株価上がらずな感じでしたね。
総合商社は今日は相場下がってもいたので、それに引きづられたのかなぁという印象です。
PERは5.3倍で割安。PBRは0.68倍で割安となります。
配当利回り5.19%でこちらはかなり高い利回りとなります。

業績推移はこんな感じで、売上高は過去にかなり高い数値をたたき出していましたが、ぐだぐだして近年盛り返してきてる状態。
経常益や最終益は昨年が過去最高となっていて、今期はそれを超えてくる想定ですね。
進捗率が99%あるのでほぼ約束された勝利という感じです。

収益性はこのようになっていて、直近の営業利益率が公表されていませんが、ROEは13%、ROAは4%となります。
ROEは非常に高いですね。ROAはやや物足りない感じですが、毛嫌いするような水準ではない認識です。

財務はBPS、自己資本比率、剰余金共に増加傾向となっております。
自己資本比率は目安となる40%に届いていませんので、人によって評価がわかれるかと思います。
個人的には近年の業績が維持される前提に立てばあまり気にならないかなという感じです。

双日の適正株価を見てみると、
過去20年の平均EPSは63円、適正株価は1133円です。
過去10年で見たときの平均EPSは217円、適正株価は3888円となります。
10年以上前の業績は結構グダグダだったので、それを考慮しない直近10年のもので考えれば株価まだまだ割安と判断できます。
狙っていきたいところです。

剰余金だけで直近配当を何年支払えるかの計算になります。
こちらは双日が16年。
他の総合商社は25年前後のところが多いですから、同業他社と比べれば配当の維持可能性はやや低いと言えるでしょう。
とはいえ16年あるので余裕がないわけでもないというのが正直な感想となります。
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ということで本日は今日決算発表のあった三菱UFJと双日について決算内容を確認してきました。


ということで、本日の情報がみなさんの投資に役立てば幸いです。
ということで、また次の記事でお会いしましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!