フリーランスが手元に残るお金を増やすために、利用できる制度をまとめてみました。
必要な税金は支払う必要がありますが、せっかく働いて手に入れたお金なので、できるだけ自分の手元に多く残しておきたいですよね。ここでは、フリーランスの僕が実際に調べて検討した制度を紹介していきます。
この内容はYoutubeでも配信しました。
動画見る方が楽だよ〜という人は、動画をご覧ください。
結論
利用すべき制度はいくつかありますが、結論を先に書いておくと以下の4つは必ず利用してほしい制度です。
詳しくは後述しますが、フリーランスとして活動するほぼ全ての人に恩恵があるものとなっています(文芸美術国民健康保険だけデザイナーやイラストレーターなどのクリエイター職しか入れません)。
- 青色申告特別控除
- e-Tax
- ふるさと納税
- 文芸美術国民健康保険
また、これら以外にも収入に応じて入っておきたいオススメの制度があるので、ぜひ最後まで読んでいってほしいと思います。
必ず利用する制度
青色申告特別控除
確定申告をする際の書類の形式は2種類あります。
白色申告、青色申告と聞いたことがある人もいるかと思いますが、そのうちの青色申告をすることで、所得控除(税がかからない所得)が10万円から65万円に増えます。
55万円分も所得控除が増えるのですが、これが実際にどのくらいの効果があるかというと、所得が400万円と仮定した場合には青色申告をした場合には約13万円も所得税が安くなります。
また、所得税以外に住民税も55,000円安くなるので、20万円近く手元にお金が残ると言えるでしょう。
とはいえ青色申告をするには簿記の知識が必要で、対応が難しいと一般的に言われています。しかし、最近はツールも発達しているので経理の知識が全くなくても大丈夫です。
僕も経理などは習っていませんが、freeeというツールを使うことで一人で青色申告できています。freeeを使えば、ツールの使用料は1万円程度かかりますが、それでも十分お釣りが来るくらいのメリットです。利用しない手はないでしょう。
ちなみに、青色申告特別控除を受けるには「開業届」を出す際に「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。これらはただ書類を記載して提出するだけなので、忘れずに対応しましょう。
e-Tax
e-Taxとは確定申告を電子申告することなのですが、これを利用しましょう。
令和2年の確定申告分から、青色申告特別控除額が65万円→55万円と10万円減額されます(減額された控除分は基礎控除が同額上がるため増税ではない)。
しかし、e-Taxを利用すれば青色申告特別控除額を65万円のまま維持できます。
実質減税できるので、対応しない手はないでしょう。
控除額が10万円増えれば、所得税・住民税・国民健康保険料の3つが安くなるのです。所得税や国民健康保険料は人によって掛かる金額が異なりますが、少なくとも住民税だけでも手元に1万円多く残ることになります。
e-Taxを利用するために必要なのはパソコン、マイナンバーカード、ICカードリーダライターの3点です。おそらくフリーランスでパソコンを持っていない人はいないと思うので、実質マイナンバーカードとICカードリーダライターを所持して入れば対応できます。
ICカードリーダライターは2000円しない程度の金額なので、投資としても初年度からお釣りがくるレベルです。
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ふるさと納税
フリーランスに限ったことではないのですが、ふるさと納税もやっておきましょう。
ふるさと納税は任意の地方自治体に寄付を送ることで、寄付金額が税金から引かれるという制度です(所得毎に税額から差し引かれる上限金額あり)。この際、2000円が自己負担としてかかりますが、各自治体から返礼品をもらえるため自己負担分の金額以上のメリットがあります。
この制度そのもので手元にお金を多く残すことはできませんが、この制度で仮に食料品や航空券をもらえば、その分の出費を減らすことができるので実質お金が手元に残ることになります。
楽天経済圏で行きている人は楽天のふるさと納税を、それ以外の人はふるさとチョイスなど好きなサイトでふるさと納税をしてみましょう。
文芸美術国民健康保険
フリーランスの中でも、イラストレーターやデザイナーといった職種の人だけが加入できる、健康保険組合です。
通常、国民健康保険料は所得金額に応じて保険料が高くなっていくのですが、文芸美術国民健康保険は所得がどの程度であっても月額19,600円(家族は10,300円)と定額です。
価格が安価であることと、価格が一定であることが特徴です。
このため、お金周りの管理がとても楽になりますよ。
そのほか、年に1度だけ常備薬を割引価格で購入できる特典があるなど、非常に役立つ組合です。組合に入れる人は、ぜひ加入を検討しましょう。
加入するにあたっては組合の加盟団体に参加している必要があります。
僕は日本イラストレーター協会 JILLAに加入しているのですが、こちらも加盟金や年会費はあるものの高額ではありませんし、国民健康保険料を普通に払っているよりははるかにお得です。
また、Adobe CCが割引価格で利用できる会員特典もあり、フリーランスに嬉しい団体となっています。
収入次第で利用したい制度
小規模企業共済
小規模企業共済は個人事業主のための退職金制度と言われています。
その通り、毎月お金を積み立てて退職金を形成するような仕組みなのですが、この積み立てた金額が満額所得控除になります。
月々1,000円〜70,000円を積み立てることができるので、最大で84万円の所得控除になります。これも控除なので所得税、住民税、国民健康保険料の金額に影響してきますね。
途中でやむなく解約する場合は、元本割れを起こすリスクがありますが、廃業に伴う解約であれば全額戻ってくるため、個人的にはフリーランスであれば実質リスクなしかなと思います。法人成りする時も基本的には満額返ってくるようです。
積み立てたお金は、65歳以上であれば退職金か年金という形で受け取ることができます。どちらで受け取っても所得税ほどは税率がかからないので納税の後回しということにもならず、純粋にお得だと言えるでしょう。
収入に余裕がある場合に、少額からでもいいので積み立てを始めてみるのが良いでしょう。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCoは老後2000万円問題が出てきた頃から一躍有名になった制度です。
簡単に言えば、毎月定額を投資に回しましょう。という制度で、投資に回した金額は満額所得控除の対象となります。さらに、通常であれば投資で得られる利益には税金が課せられますがiDeCoを利用すると値上がり益や分配金のどちらについても非課税となります。
なので、通常投資で100万円の利益を獲得した場合は、手元には80万円しかはいりませんが、iDeCoを利用することで100万円満額手にすることができます。
投資金額も所得控除になる上に、投資の利益に対しても税がかからないので非常にお得な制度となっていますが、2点注意するべき点があります。
それは
・投資は元本保証されていないこと(投入資金を下回る可能性がある)
・60歳になるまで原則iDeCoを辞めることが出来ない
というもの。
なので、今後の収入が不安定になる可能性のある人や、元本割れが絶対に許せない人には向いていない制度となります。
個人的には、iDeCoをやるより先に小規模企業共済をやって、その上でまだ余剰の資金があるならiDeCoをやる。というのが良いかなと思います。
経営セーフティ共済
最後に、経営セーフティ共済を紹介します。
こちらは正式名称を中小企業倒産防止共済制度といい、企業が倒産した際に共倒れを防ぐ目的で作られた制度です。
掛け金は月額5,000円〜20万円で、掛け金は満額所得控除となります。なので、何度も言っていますが所得税、住民税、国民健康保険料に効果があります。
ただし、合計で800万円しか掛け金をかけることができない点は注意が必要です。
事業がピンチになった時には、掛け金の中から貸付を受けることもできるため、事業の危機に備えるという意味でも有益な制度だと言えます。
加入する際に必ず目を通しておきたい点が2点あります。
・40年以内に解約すると掛け金が元本割れをする
・貸付を受けると、掛け金が一部なくなる
という点です。
長期間掛け金を入れ続けることに不安がある場合はあまりおすすめできない制度ですが、節税という観点では優秀なので事業状況を吟味して対応したいですね。
事業を1年以上継続している事業者だけが加入することができます。
まとめ
いかがでしたか?
利用できる制度はさまざまありますが、それぞれにメリットもあればデメリットもあります。自分の状況に応じて、適切な制度を利用していくことが大切になるでしょう。
ということで、まとめです。
- 青色申告特別控除、e-Tax、ふるさと納税は必ず利用する
- デザイナーなど入れる人でメリットがある人は、文芸美術国民健康保険に入る
- 収入に合わせて小規模企業共済、iDeCo、経営セーフティ共済も検討する
という感じになります!
この情報が、フリーランスの皆さんにより良い生活を送っていただける種になれば嬉しいです!