
こんにちは。ななうみ(@nana_u_mi)です。
今日は視聴者の方から銘柄分析のリクエストをいただきましたので、日本取引所グループ(JPX)について解説をしていきます。

結論を先に申し上げておくと、現在価格は割高であるが長期的には株価は上がるし買いである。と考えております。
ただし…ということで、投資対象とするには理解しておいてほしいこともありますので、ぜひ最後までご覧ください。
Youtubeにも動画を載せているので、動画で見たい人はこちらからご覧ください(チャンネル登録してくれたら嬉しい!)。
日本取引所グループ(JPX)とは?

ということで、まずは日本取引所グループがどんな起業家を確認します。
総合取引所。現物は東証、デリバティブは大証に集約。東京商品取引所統合。ということで2013年に大阪取引所と東京取引所が統合してできたのがJPXということになります。

ビジネスモデルは大きく4つあって、
- 証券会社との間で発生する売買の取引関連収益
- 証券会社との間で発生する株式や代金などの清算関連収益
- 会社を上場させて資金調達しやすくさせる上場関連収益
- 情報ベンダーに株価情報や指数情報を提供する情報関連収益
となっています。

それぞれの営業収益の割合はこのようになっていて、全体の39%が取引関連収益となっており、次いで清算関連収益、情報関連収益と続いています。
上場関連収益は割合としては少ないですが、上場維持費用を毎年徴収していることもあり、安定感のある利益源となっています。

JPXは日本の現物取引やデリバティブ取引の中心的存在であり、それぞれの取引の約80%はJPXを通じて行われています。
このことから、日本の総合取引所の大部分を担うほぼ独占的な企業だといえます。JPXを語る上ではこの点は最も重要なポイントです。
そして、ということでこの証券取引所事業に新規参入してくる他社はおそらくいないというのも魅力となります。

JPXは日本経済の発展とともに着実に成長しています。
ということで、東証一部の1日平均売買代金は長期的に右肩上がりであることが示されております。
取引関連収益と清算関連収益の2つで営業収益の60%を担っていましたから、日本市場が活況になれば必然的に同社の収益も増えることになります。

ちなみにデリバティブなどの市場も右肩上がりではあるものの、規模はかなり小さいので現物を中心に話を進めていきます。
ということで、日本市場がこれからさらに活況になるのか?というのが鍵になるわけですが、これは活況になる。ということですね。
ポイントは2つあって
- 日本が今後インフレしていくなら貯蓄から投資の流れができる
- 日本株を購入できる人口は増え続けている
ということです。
日本が今後インフレしていくなら貯蓄から投資の流れができる

日本は長らくデフレが続いておりましたが、最近では資源高をきっかけにインフレになっていく見立てが強くなっている。ということです。
給与の上昇が始まれば、日銀が長らく目標にしていた持続的なインフレ率2%を達成できるかも?という話も出てきているので将来的にはインフレが続く公算があると言えます。
デフレは物価が下がる、すなわちお金の価値が上がるわけですから、投資をしていなかったとしても、貯金ばかりしていたとしても、お金を貯めていさえすれば年々購買力は高まっていったわけです。
しかし、インフレはその逆で物価が上がる、すなわちお金の価値が下がるわけですから、貯金をしていても「残高はかわらないけど実質的な購買力は年々下がる」状態なわけです。
この状態では貯金をしていても、じり貧になるので投資をするのが最適解となります。
日本の預金額は2000兆円ほどあるといわれていますから、その一部だけでも投資に向かえば日本市場ひいてはJPXにとっては大きなインパクトになるのは必定です。
特に、2024年以降はNISAが拡充されて投資に取り組む人が多くなると期待されますので、そうした点からも活況になることが予想できます。
日本株を購入できる人口は増え続けている

そして、長期的には日本株を購入できる人口は増え続けているということです。
日本の人口は減少してきていますが、世界人口は増加しています。
すなわち、マーケット参加者の増加と考えていいでしょう。
インターネットの普及とともに投資はかなり身近なものになりました。
誰でもスマホでかんたんに取引できるようになり、日本にいながら米国の株も買いやすくなりましたよね。
こうした動きは今後世界各地でもっと進んでいくものと考えられますし、垣根がなくなり開かれたマーケットになっていけば、海外の投資家が日本を直接的にであれETFや信託などを通じて間接的にであれ購入対象とするケースは増えると思います。

現に日本はGDPではいまだに世界第3位となっていて、将来的にはインドに抜かれる想定ではあるものの、世界的な企業も多く投資妙味のある国だと考えています。
マーケット参加人口が増えれば、必然日本の市場への参加者も増えます。
参加者が増えれば取引量も増えるので、JPXにも追い風となると考えます。
ただ、気を付けたいポイントがあるのも事実です。それは
- 日本市場が海外と比べて魅力的でなければ投資先として選ばれない
- JPXの成長力は市場全体の成長力に依存しているので上場している銘柄の平均まで
ということです。
ですので、
- 成長力や安定感のある世界で通用する企業を日本がいかに増やせるか?
- 魅力のない「罠銘柄」な企業をいかに上場廃止にするか?
というのが焦点だと思います。
前者は各企業の努力や競争環境次第なところもあるのでコントロールは難しいと思いますが、後者はやりやすいはずです。
投資先として魅力的でないものも含まれている市場より、魅力的な企業ばかりが並んでいる市場の方が、株主は安心できますからね。安心して買えるものであれば投資もしやすいというものです。
そして、上場している企業の中で成長の期待できない銘柄などを排除できれば市場全体の成長力が上がり、JPXの成長力もそれに伴い上昇するでしょう。

日本市場はプライムが約1800社、スタンダードは約1500社ということでスタンダードよりもプライムの方が数が多いという異常性をはらんでいます。
もちろん、世界基準と照らし合わせて実態がそうであるということならいいのですが、そんなわけはありません。
こうしたところがより流動的になると市場としての魅力は高まると思うので、このあたりのコントロールをうまくやれるのか?というところは焦点になるはずです。
現に取引と決済で60%の営業収益ですから、下手な企業を上場維持して上場維持費用を貰うよりも、市場を健全に魅力的にする方がよほど意義のある事だと思いますから、そうした判断をできてこないと市場参加者が増えたとしても見向きのされない市場になる可能性がある。というのは見過ごせない懸念点だと思います。
配当方針は?

続いては配当方針を確認していきましょう。
方針としては配当性向60%を目安にしているということで、基本的には業績連動だということが記されております。
ただし、近年は記念配当や特別配当を上乗せ実施しているので、本来的にはこれらの配当はないものとして考えた方が無難です。
そう考えると、直近配当は55円程度で計算するのが安全ラインかなという印象はありますね。
数字で確認してみよう

といったところで、JPXの記事執筆時点の株価は1909円、PERは22.3倍と割高、PBRは3.21倍と割高になっています。
配当利回りは2.72%と市場平均よりは高い状態です。
長期的に安定した配当を得たい、ということであれば魅力的な側面はあると思いますが、今後も配当を伸ばしていけるのか、業績を伸ばしていけるのかはJPXの上場基準や日本市場の魅力にもよるでしょう。
潜在力は高いが現在の状態に甘んじてもらっては困る、そんな銘柄かと思います。

業績の推移はこのようになっていまして、最近は株式市場の盛り上がりもあって好業績で推移しています。

ちなみに100株以上の保有でQUOカードの優待もございまして、年数によって1000円~4000円分の優待を貰えるので、総合利回りはもう少し高くなりますね。

収益性を確認してみると営業利益率が50%と超高いのが特徴です。
競合が現れないので、実質値段は言い値で取引し放題ですし、この点は相当強いでしょう。
ROEは約15%、ROAは0.06%となります。
ROAは取り合た使っている証拠金などがかなり大きいのでその分低く出ている状態ですね。
収益率については営業利益率がすべてを物語っていますが、まったく問題ないでしょう。

キャッシュフローは例年おおむねプラスで推移しています。
営業キャッシュフローについては常にプラスで推移していますし、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローも基本マイナスなので問題はないですね。

財務を確認してみると、2013年にJPXとして再編されてからやや波はありましたが、直近5年を見てみると安定的に推移しています。剰余金は年々増加傾向で問題はなさそうです。
自己資本比率が0.4とかなり低くて大丈夫か?と不安に思う人もいるかもしれませんが、問題ございません。

こちらはバランスシートの負債の部分になりますが、清算引受負債と清算参加者預託金が負債の大部分を占めているのがわかります。

資産の方を確認してみると、清算引受資産と清算参加者預託金特定資産というのが同程度計上されていますから、こちらは預り金といった形になりますので基本無視していいと考えます。
これらを除いて自己資本比率を計算してみると、約76%になりますので健全性は十分高いと考えてよいでしょう。

それでは、直近20年の最終益から適正株価を計算してみます。
直近20年の平均EPSは43.53円ですから、適正株価は777円となります。
直近10年間でみてみると、平均EPSは78.35円となり、適正株価は1399円となりました。
将来の成長性などはこの計算には入ってきませんが、JPXの成長性が市場平均程度だと考えると現在価格はやや割高だと感じます。
企業の安定性は高いですから、そうした安心感と引き換えに高めの株価が付いていると考えれば納得感はあります。
そういう意味では安心感に金を払えるかどうかが、言い換えれば安心感を得る代わりに配当利回りを落とせるかというところが判断ポイントだと言えそうです。

ちなみに、現在のJPXの剰余金で直近の配当額をあと何年払えるのかを計算してみると、7年であることがわかりました。
僕は以前、三菱商事や三菱UFJなども計算したことがありますが、これらと比べると期間としては短いと言えます。
安定したキャッシュが見込めるので、あまり気にする必要はないかと思いますがより多角的に安全性を確認したい方は参考にしてみてください。
チャートを確認してみよう

それでは最後に日足のチャートを見て終わりたいと思います。
現在は、2021年9月以降の下落トレンドからようやく頭上に抜けてきたかなというところになっております。
このまま株価が上昇して1950円を上回ればトレンド転換と言えそうですが、RSIは中間地点、MACDは上昇トレンドだが弱めのシグナルが出ているので、一段と下がる可能性もあるかと思います。
分散投資をしたり、明確にトレンド転換したことを確認するといったリスクテイクはしっかりと行いたいところです。
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ということで本日は日本取引所グループJPXを紹介させていただきました。
銘柄解説のリクエストをいただき、ありがとうございます。
普段は高配当株をメインに取り扱っておりますが、ご要望があればこうした銘柄も取り扱っていきたいと思っていますので、リクエストがあれば気軽にYoutubeにコメントを投げていただけると嬉しいです。
残念ながら必ず動画や記事にするとは約束できないのですが、できるだけ希望には応えていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
ということで、これらの情報がみなさんの投資に役立てば幸いです。


ということで、また次の記事でお会いしましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!