新しいことを始めるときは小さく始めよう【隗より始めよ】


何かを始めるときはまずはできることから始めましょう。という話。

いきなりすごいものを作ったり、すごいことを成し遂げたいと思うのは人の常ですが、経験値がない状態では達成するのは困難です。

何かをスタートさせるときは、できるだけ小さく始めると最速で目的地までたどり着けます。

それはなぜか?詳しく解説します。

隗より始めよ

みなさんは「隗より始めよ」という言葉を知っていますか?

僕が好きな中国故事の言葉なのですが、コトバンクから意味を借りてくるとこんな感じ。

《中国の戦国時代、郭隗(かくかい)が燕(えん)の昭王に賢者の求め方を問われて、賢者を招きたければ、まず凡庸な私を重く用いよ、そうすれば自分よりすぐれた人物が自然に集まってくる、と答えたという「戦国策」燕策の故事から》大事業をするには、まず身近なことから始めよ。また、物事は言い出した者から始めよということ。
隗より始めよ(カイヨリハジメヨ)とは – コトバンク

できることから初めて実績を出しましょう。そうすれば次の手が打てるでしょう。

ということです。

当たり前の話ですが、どんなものでも一朝一夕に作り上げることはできません。必ず経験を積んで作業の全体量を把握できるようになって、それを完成させる技術を身に着けて…という感じで、膨大な知識と技術とタスク管理が必要になります。

当たり前だと思ったかもしれません。
でも、いざ自分が何かを始めようとした時に、いきなり大掛かりなものをやろうとするのはよくあることです。

これから筋トレを始めようとする初心者が、いきなり100kgのベンチプレスを上げようとは思いませんよね。

何かを始めようと思った時に、今やろうとしていることは100kgのベンチプレスではないだろうか…と、自問するようにしましょう。

大きなことを始めることのデメリット

大きく始めることのデメリットがわからなければ納得感も薄いと思うので、デメリットをまとめてみました。

全体のボリュームが把握できない

初めて始めることなので、話の風呂敷を広げてしまうと全体のタスク量やスケジュール、作業の総量が把握できません。

当然といえば当然です。
そもそも初めてのことでいろいろなハードルにぶつかりながら進んでいかなければならないのに、どこにハードルがあるのか、それがいつまで続くのかわからないというのは致命的ではないでしょうか。

そのうち、終わりの見えない作業に辟易して放り投げてしまうかもしれません。
そうなれば、それまでにかけていた時間は水の泡となります。

小さく始めていれば、複雑なタスクは発生しづらくその分ボリュームが把握しやすいはずです。

進め方に迷いやすい

全体のボリュームがわからないというのに似ているのですが、それとともに「何から始めればよいか」もわからないのではないでしょうか。

進め方がわからないので、闇雲に手を付けて、進んでは戻ってやり直し、またちょっと進んでやり直し。ということを繰り返しかねません。

手直しが多いということはストレスがあるものです。

せっかく始めたことも嫌になってしまうかもしれません。そうなるのはなんだかもったいないですよね。

小さく始めていれば、全体のボリュームがわかっていてタスク量もわかっているので何から始めるべきか判断しやすいはずです。

判断しやすければ、手直しの数も減らせる可能性が出てきます。

失敗した時のダメージが大きくなる

途中で飽きてやめた場合ももったいないのですが、やり切った後で失敗だった…と思ってしまうのは大きなダメージになります。

例えばスノーボードを始める人が、いきなり自分のボードを購入するとします。
遊んでみた結果、想像していたよりも楽しくなかったとしたらどうでしょう。
はじめはレンタルにしておけばよかった出費が少なかったのに…と思うかもしれません。
例えば初めてゲームを作った場合。
たくさん売れて、世間からも評価されて…というのを想像し、プログラマーも雇って声優に声を当ててもらって…という感じで出費したとします。
ゲームが完成して売れなかったとき、どう思うでしょうか?まずはフリーゲームでもいいから少しずつ認知してもらえばよかった…と思うかもしれません。
例えば初めて投資をする場合。
いきなり貯金の全額を投資に回して、大損したらどう思うでしょうか?
まずは小額から初めて利益を得るための方法や、損するときの学びを得ればよかった…もしくは投資なんてやらなきゃよかった…と思うかもしれません。

このように、最初から大きく始めてしまうとダメージも大きくなりがちです。

小さく始めていれば時間の損失も、費用の損失も小さくなる傾向があります。

学びを得る機会が少ない

上記のゲーム開発の例を借りてくれば、作り切ってリリースして初めて世間からのフィードバックを得ることができます。

フィードバックとはつまり学びです。何がいいと評価されたか、どこがよくなかったか、などを知ることができますよね。

大きく始めた場合は、1つをやり遂げるまでに時間がかかります。
時間がかかるということは、フィードバックを得られる頻度は少ないということになります。

小さなゲーム開発であれば、リリース感覚が短く、その都度フィードバックを得られるので学びが早いですよね。

学びが早いほど、軌道修正もしやすくなりますし、欠点を直すのも良い点を伸ばすのも早くなります。

価値提供が遅くなる

大きく始めると意思決定も、行動も遅くなりがちです。

また行動を始めたとしても、前述したとおり完成やリリースまで時間がかかります。

小さく始めていれば、3日後には誰かに価値を届けられたのに大きく始めたがために価値を届けるために1年かかってしまった…ということがあり得ます。

これは、自分の趣味を始める場合でも当てはまります。

登山を趣味にしようとした時に、とりあえずその日のうちに近場の低い山にハイキングに行ってみたら、楽しいと思うかもしれません。
それがウェアを買って、ちょっと高い山に行こうとトレーニングもして…とやっていたら、肝心の登山を楽しめるようになるまでに多くの時間がかかってしまいます。

まずは小さく始めよう

いきなり大きなことを始めると、デメリットがあるということが伝わったでしょうか。

もちろん、損してもいい、細かいことはやってられないからいきなり大きくいくぜ!というのは、判断としてはありですが、相応にリスキーだよというのが伝わっていればうれしいです。

最後に、小さく始めるためのコツを紹介します。

お金と時間をかけずにできることは何か?

お金と時間をかけずにスタートするには何ができるかを考えましょう。

これらをかければかけるほど、失敗した時の金銭的ダメージと時間的ダメージは大きくなります。

そうしたリスクを負うくらいなら、ちょっとの工夫でお金や時間をかけずにできることをまずは目標にしてみることがおすすめです。

小説を書くなら大作ではなく短編の1章だけをとりあえず完成させることを目標にする。

ゲームなら自分がプログラムできる範囲とフリーの音源などで構成できるものを目標とする。

筋トレなら自分が故障しない範囲の運動量でまずは初めて見る。

といった感じです。

これから何かを新しく始めようと思っている人の参考になれば幸いです。

ABOUTこの記事をかいた人

フリーランスのUIデザイナー。情報設計と構造整理が得意。制作会社の執行役員を経て独立。 現在は技術書執筆やYoutubeで活動中。デザイン、Youtube、株式投資、社会制度の話題が多めです。 拙著「誰でもつくれる!UIデザイン入門」発売中