夫婦や家族でLLPを作って可処分所得を増やそう


こんにちは。ななうみです。
久しぶりのブログの更新となりましたが、今回はLLPを夫婦や家族で作って可処分所得(ざっくり言うと、経費や税金を差っ引いた後に手元に残る現金)を増やすということを考えてみたいと思います。
僕も夫婦でLLPを作って事業を行っているのですが、その事例も含めてご紹介していきますね。

夫婦そろってフリーランスだけど、メリットを活かしきれていないと思いませんか?

僕の周りでは最近、夫婦そろって個人事業主だったりフリーランスだったりする人が増えているなと感じています。
今後はそうなっていきたいと思っている人も含めると、世間にはそういった志向の人が相当数いるのではないでしょうか。

そうした状況では、夫婦間で事業のシナジーがあったり協同できる部分があったりすると思うのですが、現状の制度では夫婦間で仕事を回しあっても経費にも収入にもできないそうです。(例:夫がWebデザイナー、妻がライターだとして、夫が100万円で受注した案件のライティングを妻に20万円で依頼した場合。夫に経費20万円、妻に売上20万円を計上することができない。相手が妻でなければ計上できるのに。)
また、実際に金銭の授受なしに仕事を分業したとしても、そこで本来発生する費用(打ち合わせ代や取材費など)を「夫婦だから」「家族だから」という理由で経費としては認めてもらえません。

こんな状態では、夫婦間で活かせるはずの協同もやりづらいですし、得られるはずの可処分所得をきちんと得ることも難しいですよね。
なので、僕が実際にLLPを作って可処分所得を増やした例などを紹介しながら、やり方やメリットをご紹介していきたいと思います。

夫婦や家族でLLPを作るってどういうこと?

LLPとは、何かというと日本名では有限責任事業組合という名称になります。
有限責任の範囲で、事業を行う組合なので、フリーランスをはじめとした個人や、法人が寄り集まって共同事業体を作成できる仕組みということになります。

LLPについては、以前に記事を書いたことがあるのでよかったら参考にしてみてください。
LLPを設立したのでメリットや費用を一挙解説します

夫婦でこの制度を利用すると、夫婦のそれぞれの売上が一旦LLPに計上されます。
そこから、各事業主(この場合は夫婦)に売上分配金を流すため、夫婦間で仕事を回しあって売上を適切に分配することができるようになります。
さらに、LLPとしての業務で利用した経費はLLPとして計上するため、本来発生する費用を経費として計上しやすくなります。

それでは、売上を分配することで可処分所得がどのくらい増えるのか?を見ていきましょう。

分配金をうまく配分すると可処分所得を増やすことができる

LLPの仕組みを使った場合に、可処分所得を増やす大きな要因が税金になります。
節税できる税は主に3種類あって、所得税、個人事業税、消費税の3つです。

例では「夫の売上が年間1000万円」「妻の売上が年間400万円」という設定で見ていきましょう。
なお、計算をわかりやすくするために、今回は経費は互いに200万円ということにします。

所得税

所得税は、年間売上から控除と経費を引いた額に対して課税される税金となります。
所得額が大きくなるほど課税される税率が上がっていくことが特徴です。

LLPを利用しなかった場合

夫の所得税:(売上 1000万円 – 経費 200万円 – 青色申告特別控除 65万円)× 所得税率 23% – 所得控除額 636,000円 = 834,000円
妻の所得税:(売上 400万円 – 経費 200万円 – 青色申告特別控除 65万円) × 所得税率 5% – 所得控除額 0円 = 67,500円
夫婦の所得税合計 = 901,500円

LLPを利用した場合

LLPの売上:1400万円 – 経費 400万円 = 分配金合計額 1000万円
夫の所得税:(売上分配金 500万円 – 青色申告特別控除 65万円) × 所得税率 20% – 所得控除額 427,500円 = 442,500円
妻の所得税:(売上分配金 500万円 – 青色申告特別控除 65万円) × 所得税率 20% – 所得控除額 427,500円 = 442,500円
夫婦の所得税合計 = 885,000円

このようになりました。
16,500円、税額が少ないことになります。
このシミュレーションでは額としては可処分所得額の差は少なかったですが、夫婦に収入差が大きい場合や経費が少ない場合は、これ以上の可処分所得の増額が考えられそうです。

個人事業税

個人事業税は、年間売り上げから控除と経費を引いた額に対して課税される税金となります。
業種によって3%~5%と税率は異なりますが、おそらく大半の人は5%の税率が適用されるのではないでしょうか。

LLPを利用しなかった場合

夫の個人事業税:(売上 1000万円 – 200万円 – 事業主控除 290万円) × 個人事業税率 5% = 255,000円
妻の個人事業税:(売上 400万円 – 200万円 – 事業主控除 290万円) × 個人事業税率 5% = 0円
夫婦の個人事業税合計 = 255,000円

LLPを利用した場合

LLPの売上:1400万円 – 経費 400万円 = 分配金合計額 1000万円
夫の個人事業税:(売上分配金 500万円 – 事業主控除 290万円) × 個人事業税率 5% = 105,000円
妻の個人事業税:(売上分配金 500万円 – 事業主控除 290万円) × 個人事業税率 5% = 105,000円
夫婦の個人事業合計 = 210,000円

このようになりました。
こちらは45,000円も税額が安いことになります。
5万弱というと、近場の旅行に1回くらい行けそうな金額ですね。何気に大きいかなと思います。

消費税

消費税は年間売上が1000万円以上ある事業者が課税対象となる税金となります。
年間売上が1000万円未満の場合は気にしなくてもよいですが、越えてくるようだとLLPで大きく減税できる可能性があります。
また、2019年10月からは消費税率が10%へ増税される予定なので、売上金額の大きな事業者はあらかじめ対処法を考えておきたいところです。

LLPを利用しなかった場合

夫の消費税:売上 1000万円 × 消費税率 8% = 800,000円
妻の消費税:売上 400万円 × 消費税率 0% = 0円
夫婦の消費税合計 = 800,000円

LLPを利用した場合

LLPの売上:1400万円 = 売上分配金合計額 1400万円
夫の個人事業税:売上分配金 700万円 × 消費税率 0% = 0円
妻の個人事業税:売上分配金 700万円 × 消費税率 0% = 0円
夫婦の消費税合計 = 0円

いままでのシミュレーションと違って、大きく差が出た税金となりました。
夫婦のどちらかが年収1000万円を越えるようであれば、LLPの利用を前向きに検討してもよいのではないでしょうか。

わが家のケース

実際に僕の家では、夫婦そろってフリーランスでLLPも作っています。
僕のケースでは、上記の例よりももう少し夫婦の売上が偏っているので、LLPを利用した際のメリットが大きいという感じでした(具体的には、各種控除を満額まで使うことで、節税率が上がるという感じです)。

LLPを作ったことで、夫婦でおよそ100万円程度の節税ができています。
そのうえで、LLPの難解な決算資料作りなどで税理士を雇っているのですが、そちらの支払いが年間30万円程度。なので、LLPを作る前と作った後の可処分所得の差は70万円ほどということになります。

税理士の支払金額が高いと思われるかもしれませんが、30万円支払って100万円手に入るなら支払った方がよいと思います。
単純に金額の高さだけではなく、得られるメリットに対して適切な支払になっているかどうかを確認してからLLPを作成しましょう。顧問税理士を雇っておくと、経理の実務だけではなくて節税の相談や、税務調査(たまに個人事業主にも入るらしい)の際に間に入ってくれるなどのメリットもあります。ヒヤヒヤしながら毎年確定申告する必要がなくなるので、安心感が段違いです。個人的には契約して良かったなと思っています。

税理士のアテがない場合は、税理士ドットコムというサイトで税理士を探してみましょう。ちょっとした税の質問なんかも投げられるし、登録しておくと便利です。

税理士ドットコムで最適な税理士選び

LLPの問題点

さて、色々といいことが多そうなLLPですが問題点もいくつかあります。
代表的なのを3つ選んだので、確認して行きましょう。

個人事業の経理と、LLPの経理の両方をやらなければならない

フリーランスの場合、既に税理士と契約しているとかでなければ、自分で青色申告なり白色申告をしているでしょう。
そのための経理なんかも自分で対応していると思いますが、これをLLP側でもやらなければならないのがデメリット。

特に、LLP用に財布を別管理していない場合(僕は別管理してない)なんかは、個人事業主側で「立替金」で支払って、LLP側で実際に経費として登録するみたいな処理が必要で、経理の手間が2倍になります。毎月しんどい〜と思っているのですが、やるだけで年間70万円の可処分所得だと思って、耐えています。

この部分はもちろん税理士に外部委託することが可能ですが、ただだるいだけの作業(難易度は低い)なので、投資してまで簡略化するほどでもないかなぁなんて思ったり。税理士によっては、もしかするとLLP側で契約してくれれば個人の分まで丸っと面倒見ますよってケースもありえるかもしれませんね。

LLPは法人格を持っていない+知名度が抜群に低い

実はLLPは組合であって法人ではないので、法人格を持っていることが与信にかけられるような企業と直接契約しづらいのがデメリット。
しかも、追い討ちをかけるようにLLPが抜群に知名度が低いので、LLP?なにそれ?みたいな反応をされるケースがほとんどです。
質問されるたびに、怪しいものではありません…と、LLPについて説明する必要があったりと、何かと面倒がつきものです。

とはいえ、新規取引先がガンガン開拓されていくということでもなければ、こういったケースの発生頻度事態は多くないはずなので、個人的には許容値かなと思っています。

LLPの業務を行える税理士が少ない

LLPの業務を行える税理士が少ないのがデメリット。
え?なんで?と思うかもしれませんが、少なくとも僕は税理士に4度断られています(知らない、わからない、やったことがない、と言った理由)。
知名度が抜群に低いので、税理士にもLLPの仕事が入るケースが稀なのか、対応したことがない人が多いんですよね。

なので、LLPに対応できる税理士を探すのがちょっと大変だったりします。

近場で対応できる税理士が見つからない場合は、前述した税理士ドットコムなら、ネット上から対応可能な税理士を探すことができてオススメです。

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デメリットはいくつかあるものの、我慢できる、許容値、委託先はネットで探せるということで、なんとか対応できるのではないかなと思っています。
ぜひ、夫婦ともに個人事業主だ!という方は、LLPを作って可処分所得を増やしてみてくださいね。実際に作るときには、どのくらい増えるかの計算と税理士への依頼料の確認をお忘れなく!